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2007年11月 2日 (金)

アメリカ「帝国」論をめぐる批判

■偶然、自分でも忘れていたがココログに移転する前に、はてなブログに書いたエントリを見つけた。もう一年以上前のものであるが一部、加筆、修正してUPしておく。雪斎殿、カワセミ殿にコメントを頂いている。感謝。それにしても懐かしい。

国内外にアメリカ帝国論は、枚挙に暇がない。本屋でも、アメリカ=帝国とついた書籍を結構、見かける。

日本でも藤原帰一先生の『デモクラシーの帝国』や、山本吉宣先生の『帝国の国際政治学』など、優れた書籍がある。どちらも、両先生の帝国概念を用いて、国際関係におけるアメリカを分析した文献である。

ただ、管理人は両先生の分析は大変、勉強になるが、アメリカをかつてのローマ帝国などになぞらえた「帝国」だとは、思っていない。そういう趣旨のエントリである。

■アメリカ帝国論が珍しいわけではない。かつては、ヨーロッパから招かれざる帝国と呼ばれ、冷戦期には、ソ連から帝国と言われてきた。

しかし、2001年、アメリカ同時多発テロ以降のアメリカのG.W.ブッシュ大統領やその政権が、大きく軍事力へ傾斜し、アフガン攻撃、イラク戦争を行ったのは、周知の通りである。

これを契機(そのプロセスも含めて)に、アメリカ帝国論が再燃してきた。

(学術的には、M.ハート、A.ネグリの帝国が口火を切った感があるが)

ここでは、ジョン・アイケンベリー氏の論文を要約して、いくつかコメントしたい。

■アイケンベリーによれば、9.11以降、アメリカは、ヨーロッパを卑下し、ユニラテラルに軍事力を大胆に使うようになってしまった。そして、新原理主義外交ともいうべき、マルチラテラルを離れ、自由とデモクラシーを押し付ける政策をとり、これがイラク戦争だが、それは、コストがかかり、戦略的にも失敗し、その結果、外交政策において、戦略的ビジョンが維持できない状況をもたらした。と指摘する。

その上で、アメリカの同盟戦略や、多国間とのルール・制度構築が、新時代の脅威や変化するパワー関係において、重要であり、それによって、アメリカは、長期的な利益を得ると主張する。

また、新原理主義ネオコンの特徴として、

①他国に冷淡で、軍事力を独自の判断で行使する、ホッブズ的な世界観を持ち、ルールや制度を拒む。

軍事力外交政策の中心になり、ハードパワーが原理であり、国益をもたらす。

リベラルな制度やルールがアメリカの主権を危うくし、パワーの行使の制約を嫌い、それらを、無視する。

④非協調的にウィルソンの理想主義を、つまり、デモクラシーの拡散をはかることは、アメリカの安全保障政策にとってよい結果をもたらす。

そして、このようなアイデアを持つ圧倒的な国家が決定的に影響力を行使するヒエラルキーシステムを新たな帝国(主義)と呼んでいる。

さらに、分析はすすみ、そのネオコンのアイデアが何故、失敗したのか、いくつかの理由を挙げている。

①グランド・ストラテジーの失敗として、ならず者国家がこれまで以上に核抑止能力を持とうとしている。イラクの安定化が図れない、イラク戦争により、反米アラブナショナリズムイスラム原理主義を目覚めさせた。中東和平の崩壊など。

ユニラテラリズムは、コストが高く、国内の支持の持続ができない

③アメリカは、特に軍事力において、極めて優越を保持しているが、経済や政治では、一極ではない。

④他国の支持と、WW2以後築きあげた、国際秩序というアメリカの正統性を傷つけている。

さらに、現状を踏まえて、アメリカの帝国的なヒエラルキーシステムでは、世界は分断され、アメリカは一層、孤立するだろう。G.Wブッシュ政権は、国内的にも、国際的にも、アメリカの価値(道徳的正統性)を傷つけ、信頼を失ったと警告している。

'The End of the Neo-Consevative Moment'

G.john ikenberry,Survival Spring 2004  この論文はこちらに所収:『Liberal Order And Imperial Ambition: Essays on American Power and World Politics


■コメント

アメリカ帝国論は内外に枚挙がないが、まず、国際システム上、構造に起因する問題がある。冷戦終結後、アメリカの「一極構造」なのである。アメリカは、軍事力経済力、情報、文化(価値)すべての局面で、圧倒的な優越を保持している。特に軍事的優越性は、かつてのローマ帝国や、大英帝国をもしのぐものである。また、アメリカ外交には、伝統的に、普遍的な価値や理念を追求し、受容をせまる傾向がある。このような優越性や傾向から、アメリカを帝国と呼ぶことは、可能かもしれない。アイケンベリー氏の帝国論もしかりである。

しかしながら、アメリカがマルチラテラリズムを一方的に放棄したとは言えない。イラクの査察時における中東湾岸地域における米軍プレゼンスのコストを軽減させようという国家があっただろうか。また、国連を無視してるとも言えない。確かに同盟諸国間への働きかけや国際社会への説明が十分とは言えないが、安保理決議1441採択までの手続きも踏んでいる。グローバル化の相互依存、国際法国際機関、国際世論に緩やかながらも拘束されているハイパーパワーである。

また、ジョセフ・ナイの指摘する通り、ハードパワー(相手を意のままに動かす力)が極端に強まれば、ソフトパワー(魅力的に相手をひきつける力)への関心は、弱まるだろう。しかし、そのパワーの行使が軋轢や摩擦を引き起こし、効果的でないことを学習すれば、また、ソフトパワーへの関心が高まる。

実際、イラク攻撃を支持した国は、四十カ国過ぎず、帝国であるならば、属国属州である、フランスドイツに真正面から反対されるだろうか。これが、アイケンベリーの言うヒエラルキーシステムなのだろうか。

アメリカは、帝国でもなければ、一極支配でもない。また、一極支配体制でもない。(体制には、国際的な認知や承認が必要である)

■また、国際関係はグローバル化、相互依存の深化など、多様なアクターが複雑に絡み合っている。経済的には、中国やインドの台頭も目覚ましいし、EUもプレゼンスを高めている。国際社会の秩序は、アメリカが主導する形だが、決して一国では、維持することはできない。

アメリカの社会学者、マイケル・マンが指摘したように政治力という面では、アメリカは外交面で、現状成果をあげれていない。パワーを上手く使えてないということである。

■ニオール・ファーガソン氏は、『Colossus』において、歴史的事例から、今のアメリカが「帝国」でなければ何なのか、国際関係でリーダーシップを取れるのは、ワシントンしかないと主張するが、彼の帝国論は、ロバート・ギルピン氏の覇権安定論とさほど変わりない。上記にすでに書いているが、今のアメリカは、ハイパーパワーであり、国際政治の構造の1極であると管理人なら答える。確かにリーダーシップは取り得るだろうが、それは局面、ケースに応じての他国間との協議の上でである。

安易なアメリカ帝国論は、冷静かつ客観的な分析を鈍らせる。

(下線文字は、はてなエントリからのコピペです。すいません)

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コメント

中西寛先生は、米国を「超絶大国」と呼んでいました。「帝国」よりも、こちらのほうがしっくり来ます。

投稿: 雪斎 | 2007年11月 2日 (金) 16時30分

雪斎さん

わざわざ同じ内容の記事に今回もコメントありがとうございます。

中西寛先生の「超絶大国」の方がしっくり来ますね。「スーパーパワー」を通常「超大国」と使いますから、「ハイパーパワー」だと「超超大国」となって、これもわかりずらいですから。

それに、「帝国」というと人によりけりですが、「empire」よりも 「imperial」のイメージが強いのかもしれません。もちろん意味は、ネガティヴなんですが。

そう思うと、レーニンの『帝国主義』というのは、内容はともかくインパクトがあるなあと感じます。

やはり、中西寛先生の「超絶大国」がよいですね。

コメントありがとうございました。

投稿: forrestal | 2007年11月 3日 (土) 00時07分


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