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2007年10月 6日 (土)

小沢代表の国連至上主義

■今、臨時国会の政争の具になっている、新テロ特別措置法(仮称)だが、この法案を巡っては、これまで、何度か、エントリしてきた。今回は、少し、国際法的に、小沢代表が何を、問題にしているのか確認しておきたい。

対テロ新法:民主、事前協議を拒否、与党が法案骨子を提示

新法案は11月1日に期限が切れるテロ対策特別措置法に代わり、インド洋でテロ対策活動に従事する有志連合国軍への海上自衛隊の支援活動を継続するもの。骨子案では活動を給油・給水(補給)に限定し、法律の期限は2年とした。活動に対する国会の承認は不要とし、活動内容について「1年後の国会への報告」を義務づけた。【小林多美子】

引用元:http://mainichi.jp/select/seiji/news/20071006k0000m010154000c.html

毎日新聞 2007年10月5日 23時44分

■これは、小沢代表の持論が強く反映しているとは思うが、外交・安全保障分野で、自民党と民主党の差異を強調するためであろう。

私の考えは、修正、変更、説明は、必要であるが、このオペレーションから抜けるべきではないと散々、述べてきた。

みなさんも、すでに、ご存じのことばかりだと思うが、小沢代表の国際法(ここでは、国連安保理決議)の解釈はわからないが、現状、アフガニスタンでの(軍事)オペレーションが、どうなっているのか、国際法(国連安保理決議)に従って、説明、確認していきたい。

■まず、アメリカ同時多発テロの後、出された、安保理決議、1368決議(テロ特もこれを根拠のひとつにしている)だが、これは、憲章、7章42条の軍事的措置を認めるものではない。では、アメリカがアフガニスタンに自衛権でもって行った、タリバン掃討の武力行使は、1368、1373決議などで、追認されている。

しかし、その後のアフガニスタンをめぐる安保理決議では、ISAF(国際治安維持部隊)を、憲章7章に基づくものとし、武力の行使を認めている。(憲章42条、主に憲章43条規定により)ただ、OEF(不朽の自由作戦)は、国際法解釈上、違法ということになるので、アメリカ、及びNATO加盟国は、ISAFにOEFをアフガニスタンの地上に限って吸収させるという形で、NATOの指揮下におき、オペレーションにその他の諸国もあたっている。ちなみに、日本は、この意思決定会議には、参加させてもらっていない。

しかしながら、これは、地上のみなので、海上でのオペレーションは、含まれていない。それゆえ、ここを民主党は、問題視している。つまり、海上では、OEFやMIOは、パキスタンが指揮権を持ち、全ての統帥権は、アメリカにある。日本の支援は、この海上が、殆どで、アメリカのOEF、これは、国際法解釈上違反である。というのが一般的な国際法的なロジックであろうか。

それゆえ、細かい解釈論争は、省いたが、小沢代表の国連至上主義にも、法的には、筋が通っている。つまり、その支援が、何に使われたのかは、2の次の問題である。

ただ、日米安保か、国連中心主義か、差異を強調したいのだろうが、それほど単純なものではないだろう。

(また、支援行為をしているから、戦争に参加しているとか、加担しているとか、国連、国際法を基盤にするなら、そんな安易な考えは出てこないはずである。まあ、ただのプロパガンダだと思うが、支援行為は、あくまでも、国家責任法の支援行為の基準の従って、合法か違法かは、決定される。一体化されるというのは、政治的なレトリックでしかない。)

■以上を根拠に、民主党は、批判し、ごねつづけているわけだが、現状の問題に対処するのと、よく、今後、国際関係は、多極化するというのを聞くのだが、あまり、その根拠もよくわからないのだが、それを見据えて、国連の集団安全保障を日本の国家安全保障の軸に出来るだろうか。こんなことは、私が言うまでもなく、あまりに、初心だとお思うが。

上記に記したが、日米同盟を機能的にワークするようにして、日米の抱える様々な案件(基地問題や、地位協定などなど)の改善に少しづつ、取り組み、国連は、使えるなら、こちらも、戦略的に使えばいい。それだけのことだと思うが。

国際関係は、アクターが織りなす、パワーの秩序と国際法の規範などが、絡みあってできている。仮に、安保理決議が「国際正義」というなら、国際政治は、利害の調整の場であって、正義を実現する場ではない。

■小沢代表の国際情勢、日本を取り巻く戦略環境や、日米間のパワーの差など、どのような認識かはわからないが、小沢代表の国連至上主義に基づけば、民主党の対案は、この、死傷者もでている、ISAFに自衛隊か文民を派遣する法案になるだろう。この対案を出して、国民に説明をしたらどうだろうか。言うまでもなく、欧米からの小沢代表の評判は、悪い。たとえ、アメリカが国際法解釈上、違反しているからと言って、それをどこの国家も、国連でさえも、公言、追及しない現実をもっと、理解してもらいたい。「対テロとの戦い」は、国際的にコンセンサスがあることである。民主党の情報開示と説明を求める姿勢は、良いことだと思うが、日本の外交政策において、批判ばかりでごねつづけるのは、イメージを下げるだけだと思うが。。。

ここにきて、小泉元総理の発言である。

「民主党は(自民党)反主流派で、協力政党だ」--。約6年半ぶりに出身派閥の町村派総会に出席した小泉純一郎元首相がマイクを握り、出席者の爆笑を誘った。

 民主党の小沢一郎代表や鳩山由紀夫幹事長らを「みんな元自民党だ」と指摘したうえで「かつては小沢さんのグループ(旧竹下派)が主流派で、我々は反主流。今は民主党が反主流だ」とたたみかけた。4代続けて首相を生んだ町村派の“わが世の春”を謳歌(おうか)するかのような「小泉節」に、場内はわいた。

 一方、小泉氏は「参院選の結果、自民党も民主党も『拒否権』を持った。民主党は選挙では対立候補だが、国会の政策論争では協力政党と思った方がいい」と自民、民主両党の協力の必要性も強調した。

引用元:http://mainichi.jp/select/seiji/news/20071005k0000m010041000c.html

これは、明らかに、自民党というより、民主党、もっと言えば、国民向けのメッセージであろう。

自民党も困難だが、民主党も同様に困難である。福田総理が、所信表明で、理念、政策を似せてきたことも戦略であろう。

民主党が、解散総選挙を急ぐ裏には、参議院選挙での追い風を利用したい裏が見える。もちろん、それは、どの政党・組織であれ、自分に風が来てるときは、利用する、したいものであろう。

これまでのエントリとかなり重複しているが、期間が空いてしまうと、書く機会を失ってしまうので、『小沢主義』を読んだこともあり、中身は、彼の持論の国連常設軍や、憲法無効論、ドイツのような憲法裁判所設置には、触れていない。

兎に角、民主党も、テロと闘う姿勢を内外にアピールするためにも、対案を出して、国民に説明してもらいたい。

■みなさん、連休は、お出かけなさるなり、ゆっくりなさるなり、有意義にお過ごしください。

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コメント

こんにちは
 最近、国連で決まったことなら自衛隊を派遣できる・・つまり「国連の集団安全保障」に乗るなら自衛隊出しても憲法違反ではないという理屈が、理解出来ないんですよ。
 インド洋の給油も、国連の言及が足りなくても、日本の国益や安全のためなら可能だろって、かなり乱暴な理屈ですけど、そう考えざる得ないんですよ。小沢さんはアブナイよなぁ~って思います。
 
 

投稿: SAKAKI | 2007年10月 7日 (日) 13時55分

SAKAKIさん

いつもコメントありがとうございます。WWⅡ後、国連の集団安全保障は、機能したことがありません。もちろん、だからといって、今後、機能しないと言っているわけではありません。少なからず、現状は、国連の限界です。それが良いとか、悪いとかそういう問題でもないんですよ。だからこそ、国連の集団安全保障の機能麻痺から、PKF、PKOが行われるようになった経緯があります。

又、日本は、国連憲章や、条約よりも、国内法(憲法)が優位にあります。これは、憲法98条に明記されていまし、日本は、その立場を取っています。

それゆえ、憲法9条がどのような形に改正されるべきは、多いに議論があってしかるべきですが、これは、日本が自衛隊なり、仮に、自衛軍になっても、派遣するかは、主体的な判断になります。日米同盟でも、国連の軍事オペレーションでも同じです。

ただ、現憲法では、国連決議があっても、軍事オペレーションには、参加できません。憲法違反です。

ISAFというのは、形式上、憲章42条の(軍事)オペレーションも含まれます。それゆえ、海上の給油より、遙かに危険ですが、自衛隊、文民の派遣は、現憲法でも武力の行使が伴わなければ可能です。ただ、現在の9条解釈は、「専守防衛、最低限度の実力」その自衛も日本の領海、領土、領空に限定されます。この辺の解釈の整合性をどうするのかは、実は、周辺事態法あたりからかなりグレーなのですが、小沢民主党は、どうするのか、興味があるところです。
さらに、国連中心主義というのなら、憲章上、認められている、憲章51条ですね、集団的自衛権の権利、行使も認めないと、さらに言えば、国連決議によって、自衛隊の派遣を主体的に決めるにせよ、国連決議に憲章42条の軍事的措置が盛り込まれる可能性がある以上、それに対応できる法的、制度的枠組みを整えなければいけません。

国連を軸に、国連中心主義にするということは、そんなに、易しいことではありませんよ。

でなければ、小沢代表の国連安保理決議や国連に対する姿勢は、トリプル・スタンダードになります。

http://sankei.jp.msn.com/topics/politics/1424/plt1424-t.htm

私は、『世界』という雑誌はあまり読まないのですが、この11月号に、小沢代表は、政権をとったら、ISAFに陸自を派遣すると言ってるようです。もちろん、民主党が政権を取るか、民主党内の意見集約が出来るかわかりませんが、私としては、歓迎です。いろいろと懸案事項はあるのですが。。。ただ、多くの国民がYESというのかが問題ですが。。。

コメントありがとうございました。

投稿: forrestal | 2007年10月 7日 (日) 21時56分

こんばんは。
小沢党首は近く論文を発表されるようですね↓
http://www.asahi.com/politics/update/1006/TKY200710060001.html
欧米での悪評を聞いたのか、かつての一国平和主義とは違うのだと主張したいのでしょうね・・・。
国連のオペレーションならどんどん協力しますといっても、
「危険そうな分野は他の国がやってください。いざというときは守ってください」
という態度では、さすがに格好悪いので、武力行使も可能としたのでしょうか。
国連お墨付きの作戦行動であれば憲法に抵触しないというのはどういうロジックなのか、論文を読んでみないとわかりませんが、小沢さんは若い頃、司法の世界を本気で目指していたらしいので、法的に正統性があるかどうかに強いこだわりがあるようです。

でも、どうなんでしょうね。
国際貢献についてはあまりカッコつけないで、当面は得意分野の給油・給水とかを地道にした方がいいと思います。
5大国一致の原則に縛られた今の国連は、日本周辺に起こるであろう紛争解決にはあまり機能するとは思えませんし、必ず日本の味方をしてくれるとも限りません。
日本の安全保障政策を真剣に考えるなら、集団的自衛権の憲法解釈変更こそ優先すべきでしょう。
国連、国連と騒いでいて、気が付いたら日本は孤立無援となっていた・・・ではシャレになりませんから。

投稿: 板倉丈浩 | 2007年10月 7日 (日) 22時05分

板倉さま

いつもコメントありがとうございます。

どの報道各社も扱っているようですね。情報提供ありがとうございます。朝日の方が、詳しいですね。

ぜひ、『世界』11月号は、目を通したいですね。SAKAKIさんのレスと重複しますが、国連お墨付きでも、現憲法では、実力行使は、自衛のみですから、上記レスと重複しますが、小沢代表の国際法(国連憲章・安保理決議)や、憲法解釈、それぞれをどう整合性つけ、リンクさせていくのか、大変、興味がありますね。アフガニスタンの民生支援のISAFとっていっても、武装したタリバン勢力が、当面、ターゲットになります。アメリカ、NATO諸国やその他の参加諸国も、各国、自前の軍隊を送っています。それでも、死傷者がでています。

http://www.crisisgroup.org/home/index.cfm?id=3071&l=1#Top

こちらは、現地に入っているジャーナリスト、NGOsのレポートをもとに、分析している国際シンクタンクのオピニオンです。いずれ、近いうちに、アフガニスタンの現状は、エントリする予定ですが、かなりのタリバン勢力が盛り返している様子ですね、比較的、安定しているのは、カブール近辺だけだとされてますね。民主党も調査団を派遣したみたいですが。

話がそれましたね。すいません。私の記憶違いでなければ、小沢代表は、現憲法は、アメリカ占領期に制定されたもので無効であるが、現在、憲法とというコンセンサスがあるので、それはそれで受け入れるという、消極的な姿勢であったはずです。

私は、国内世論を考え、段階を踏むべきだと考えます。ISAF派遣、大いに結構なのですが、これも、説明、戦略がないと、給油・給水よりリスクもコストも高いですから、又、日本が期待されてないISAFで何が出来るのか、足でまといにならないかなど、いろいろ懸案事項は出てきますね。ただ、それがどのように、日本の国益に繋がるのか、合理的な道筋(reasonable through)がなければ、とても派遣は出来ません。

ただ、いかなる形であれ、ワード・ポリティクスを展開する以上、小沢代表の執念は感じますが、実際、現場(派遣される場合は、陸自の特殊部隊になると思いますが)がまだまだ、追いついてない状況です。

国連及び、国連安保理決議は、確かに、国際関係において、正統性を付与できる機関ではあると思います。ただ、他にも、正統性ということを言えば、パワーにも見いだせるわけですし。そのような複雑多様な国際関係に、国連安保理決議は、守ったは、仰る通り、孤立した、国益を減じたでは、意味がないでしょう。P-5のやり取りや、安保理改革・改編が進まないのは、まさに、このようなアリーナ的な側面が露骨にでているからでしょう。

ミャンマーやダルフールなどで、安保理決議が出せない(出せなかった)のが、「国際正義」なんですか、グローバル・スタンダードなんですかと思ってしまいます。もちろん、私は、国連を否定する気もありません。そのサブシステムは、目だ立たないが、頑張っています。又、世界の殆どの国家が加盟する国際機構です。

ただ、小沢代表がどのような法的ロジックを組み立てるのか論文を参考にしたいのですが、私から言えば、SAKAKIさんのコメントにも書きましたが、国連中心主義というのは、言葉でいうより、甘いものではないという認識です。

仰る通り、集団的自衛権の解釈変更が先ですが。。。

いつもながらコメント・レスにならずにすいません。

コメントありがとうございました。

投稿: forrestal | 2007年10月 7日 (日) 23時07分


>国連中心主義というのは、言葉でいうより、甘いものではない
そのとおりですよね。僕も板倉さんに賛成です。得意分野、出来ることを地道に協力するのが、確実でいいと思います。

投稿: SAKAKI | 2007年10月 8日 (月) 06時05分

SAKAKIさん

再度のコメントありがとうございます。

現状、期待されていて、コスト・パフォーマンスが良いのは、給油、給水ですね。

ただ、段階を踏まなければ、ISAFは、危険です。国内世論がYESという可能性は、低いとみていますし、死傷者が出たりすると、衝撃は大きいでしょうね。

それでも、小沢代表が陸自を派遣したいというのなら、ぜひ、やってみてくださいという、少し挑発的な意味合いを込めています。

私の見解は、得意分野で貢献しながら、段階を踏むべきであるというものです。ですから、アフガンのタリバン勢力など現状をもっと調べなければいけませんが、これが、ステップになるなら、歓迎です。

コメントありがとうございました。

投稿: forrestal | 2007年10月 8日 (月) 15時27分

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