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2007年9月28日 (金)

ミャンマー、大規模デモにおけるメモ

■ミャンマー軍事政権に対する僧侶を中心とした、抗議デモが、かなり大規模、かつ、国際的な反応をもたらしている。日本人ジャーナリストの方が亡くなられたこともあってか、日本でも大きく扱われている。もう、かなりの情報が出ているが、少し思うところをメモしておく。

ジョージ・W・ブッシュ大統領の声明 (White House

The world is watching the people of Burma take to the streets to demand their freedom, and the American people stand in solidarity with these brave individuals. We feel admiration and compassion for the monks and peaceful protesters calling for democracy. Every civilized nation has a responsibility to stand up for people suffering under a brutal military regime like the one that has ruled Burma for too long. I call on all nations that have influence with the regime to join us in supporting the aspirations of the Burmese people and to tell the Burmese Junta to cease using force on its own people, who are peacefully expressing their desire for change. By its own account, the Junta has already killed at least nine non-violent demonstrators, and many others have been injured and arrested as they seek to express their views peacefully. I urge the Burmese soldiers and police not to use force on their fellow citizens. I call on those who embrace the values of human rights and freedom to support the legitimate demands of the Burmese people.

■まず、簡単に事実を確認しておきたい。この度の抗議デモだが、その発端のほどは、よくわからないのだが、一般的な報道では、デモの発端は、最近の石油価格高騰を受けて、ガソリンなど燃料費が大幅に値上げし、ただでさえ、苦しい、国民生活を圧迫したことにある。これに抗議した僧侶のデモに兵士が威嚇発砲、暴行、負傷させる事件が発生し、僧侶たちはこの事件に憤慨、軍事政権に謝罪を要求、謝罪期限が過ぎた18日から数千人規模のデモを各地で開始する。この僧侶デモに、軟禁中のNLDのリーダー、アウン・サン・スーチー女史の解放を求めるグループや、軍事政権の弾圧を受けてきた少数民族(カレン民族同盟など)、一般国民、学生が加わり、10万人規模のデモまで膨れ上がっている。これに対して、軍事政権が武力を行使し、死傷者がでている。

これに対して、アメリカ、EUは、従来からの制裁を強化、それに加えて、フランスは資金の凍結を表明している。国連安保理は、中国の反対で、安保理決議が出せないものの、特別特使を派遣するようである。国際社会からの非難と圧力は、高まっている。

■上記がほぼ、事実であるとは思うが、ミャンマー情勢を少し、見ておきたい。ミャンマーに関しては、以前のエントリで触れているので、そちらを、参照、頂きたい。(ミャンマーと北朝鮮の国交回復?

現在、ミャンマー国内の経済状態は、非常に苦しい。そんな中、市場を解放し、主に天然資源をベースに、中国、インド、タイなどからの投資があったが、国際的なフリーマーケットまで、幅広く、開放されているわけではない。特に昨今は、中国からの経済援助と武器供与に頼る傾向が強い。又、ミャンマーにおける僧侶というのは、国民からの施しを中心に、国民の代弁者となり、軍事政権下でも、一定の影響力をもっていた。それゆえ、軍事政権は、少なからず、僧侶に対しては、配慮してきたはずである。ただ、ここにきてこれは、あくまでも推測だが、軍事政権内部の腐敗(暴走)と求心力(抑圧能力)の低下が、見られる。

でなければ、僧侶に対しては、ここまでの暴行などはおよそ考えられない。これは、恐らく、中国の援助に頼りすぎていて、武器(武力)に傾きすぎて、国内の人権(主に国民の生活)などへの配慮がより一層、低下したためであろう。これは、中国がコミットメントしてるダルフール紛争と、ほぼ同じ文脈に位置付られよう。インドは、静観なのだが・・・。

次にような記事がある。一部、引用する。(大紀元

抗議活動の兆しは以前からあった。最初の兆しは今年2月で、中共が国連安全保障理事会でミャンマー軍事政権を制裁する決議案を否決した後のことである。いわゆる「青年僧侶連盟(Young Monks Union)」と名乗る団体はミャンマーのインド国境に近接するアラカン州で宣伝チラシを配り始めた。中共の否決に抗議した上、中国製品を排斥することを求めた。この地域には、豊かな石油と天然ガスがある。

 また、別の抗議チラシには、ミャンマーの石油と天然ガス開発で中共はミャンマーを搾取していると抗議する内容があった。中共は現地の住民を雇わず、中国から労働者を供給し、不満を募らせた地元農民らは、中共所有の天然ガス会社の事務所を攻撃したという。

 ミャンマー・アラカン州の主要都市シットウェ(Sittwe)で、中国雲南省に直通する新しい港が中国資本で建設が進んでいる。この港は将来、海軍基地としても使用できるように開発を進めており、鉄道と道路は勿論、石油輸送管も整えおり、石油と天然ガスを中国に輸送できる。この港は、従来のシンガポール・マラッカ海峡を通らず、石油輸送船はペルシャ湾からシットウェに直航できる。 そのため、この地域は、ミャンマー軍事政権を抗議する焦点なのである。

この情報がどこまで、本当かは、もっと精査しなければいけないが、中国が安保理決議で反対している理由は、この辺であろうか。特に、中国からすれば、天然資源をはじめ、ここに、港を建設し、中国の戦略的拠点にすることが出来れば、インド洋上において、かなり、容易に、大規模に中国海軍を展開することが出来るのは、地政的に事実である。ただいかにも、反中的な記事だが、管理人は、もっと複雑な要因があると思うし、僧侶の抗議デモの真の目的が反中国であるとは、断定できない。

ただ、軍事政権は、中国からの援助も必要だが、それが、僧侶や国民、少数民族を掌握する上での不安定要因であるジレンマにはあるのだろう。

同様に、ジョージ・W・ブッシュ大統領も、中国に影響力を使って、軍事政権の武力行使をやめさせるよう働きかけている。

これを受けて、中国もかなり困った状態である。アメリカはじめ、EU諸国、又、ミャンマー軍事政権に批判的な東南アジア諸国(タイやフィリピン)などの批判は、国益上、避けたいが、ミャンマーの取り込みも国益上、重要である。こちらもジレンマである。

ただ裏を返せば、アメリカが中国のミャンマーへの影響力の強さを認めているとも言える。

以上、かなり、想定の上で、メモとして書いたが、反中ナショナリスッテックになる必要はない。いかなる国家も自国の国益のために、戦略を策定して、行動するのは当たり前である。ただあまりに露骨ではあるが。。。

ただ、この手の問題に、日本は、国際社会に向けて、日本人死者が出る出ないに関係なく、(大きな)メッセージが出せないものかとは思う。中国やロシアやインドがどうこうという前に、東アジア諸国の日本への期待は大きい。これでまた、失望させたかと思うと残念である。もうしばらく情勢を注視したい。

■最後に、このデモで亡くなられた、日本人ジャーナリストの方をはじめ、全ての人の冥福を祈りたい。

■尚、今後、エントリとは関連性のないTBは、削除させて頂きます。ご理解、ご了承の程、よろしくお願いします。

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