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2007年9月26日 (水)

福田「清水の舞台」内閣発足へ

■本日、天皇陛下の親任、認証をもって、正式に福田新内閣が発足、始動した。

総理大臣:福田康夫

総務大臣:増田寛也

法務大臣:鳩山邦夫

外務大臣:高村正彦

財務大臣:額賀福志郎

文部科学大臣:渡海紀三朗

厚生労働大臣:舛添要一

農林水産大臣:若林正俊

経済産業大臣:甘利 明

国土交通大臣:冬柴鉄三

環境大臣:鴨下一郎

防衛大臣:石破茂

内閣官房長官:町村信孝

国家公安・防災・食品安全担当大臣:泉 信也

沖縄・北方、国民生活、再チャレンジ担当大臣:岸田文雄

金融・行政改革・公務員制度改革担当大臣:渡辺喜美

経済財政担当大臣:大田弘子

少子化対策、男女共同参画担当大臣:上川陽子

補佐官(拉致問題担当):中山恭子

補佐官(教育再生担当):山谷えり子              (敬称略)

■安部前総理の突然の退任を受けての福田新内閣の発足である。閣僚人事に関しては、13閣僚が再任、町村氏が官房長官に、高村氏が外務大臣に横滑り、石破氏が防衛大臣、初入閣は、文部科学大臣の渡海紀三郎氏の布陣となった。

国会会期中ということもあり、出来る限りの政治空白を作らないようなスピード人事である。もちろん、野党から言えば、派閥談合内閣や、古い自民党との批判もある。麻生前幹事長は、距離をとったが、麻生支持派からは、鳩山氏、甘利氏が再任されている。また、言うまでもなく、現時点では、自民党の実務に長けた、重量級内閣である。又、政治手腕を発揮するための、環境構築作り(官僚などとの調整)もスムースに行える。(少し視点を変えれば、言葉は悪いが、「身体検査など」をしている時間がなかったとも考えられるが・・・)

■この閣僚人事に先立ち、党4役(選挙対策委員長が格上げ)が決まっている。顔ぶれはこちらである。

幹事長:伊吹文明
政調会長:谷垣禎一
総務会長:二階俊博
選挙対策委員長:古賀誠

閣僚よりも、むしろこの党4役人事に少なからず、福田カラーがでているのではないか。

福田総理も、総裁選の時は、少し、頼りないような、スピーチが下手な印象であったが、ここにきて、総理としての風格がでてきたように思える。

■ご存じの通り、福田総理の父親(福田赳夫元総理、念のためwikiを付記しておく参照)も、1976年、総理大臣となるが、年齢71歳、また、日本社会も暗い時期であった。田中、三木元総理の高い支持率もなく、人気は低迷、非常に地味な内閣であった。しかし、福田元総理は、そんなことも意にせず、(雪斎殿の新内閣渾名の由来とも思われる)「さあ働こう内閣」称して、意気揚揚であった。その後、内政では、成田空港開港など、経済の立て直しを図り、外交でも、日中平和友好条約の締結、福田ドクトリンなど、目覚ましい実績をあげた。特にこのような外政面での背景は、ベトナム戦争で傷ついたアメリカ、ニクソン大統領のアジアへの関与限定ドクトリンであり、キッシンジャー外交の真髄とも言える米中の接近でもあった。このことを契機にして、対米協調を基軸にしながらも、(東)アジア外交に重点を置く外交政策であった。

■わざわざ、福田総理の父親のことを少し記述したのは、当時と今では、もちろん、国際環境も、日本の国内社会も大きく変容している。それでも、現状と少なからず、似ているところはないだろうか。内閣発足当初の支持率、人気の低迷など(前任者との比較において)、又、外交面では、イラクをはじめ中東で混迷するアメリカ、米中の接近などである。もちろん、現状のように、「ねじれ現象」ではないのだが。。。

■アメリカ、国務省ケーシー副報道官のコメントのあと、海外のジャーナルを見ておく。

アメリカ国務省)日本に該当する部分だけ引用する。

QUESTION: A new Japanese cabinet was formed today under the LDP leader Yasuo Fukuda and what are U.S. expectations of the new cabinet?

MR. CASEY: Well, first of all, let me take the opportunity to congratulate Prime Minister Fukuda on his election. We very much look forward to working with him and his new government as we move forward. Japan and the United States are close friends and allies. We've been working together really across the full spectrum of international issues on everything from fighting terrorism and extremism in places like Afghanistan and Iraq, to working together to end the threat posed by North Korea's nuclear program, to a variety of issues related to international development and security. So we look forward to continuing that relationship. We've certainly enjoyed a very strong and positive relationship and a strong friendship with Japan over the years, and look forward to be able to continuing that with the new Prime Minister and his government.

QUESTION: And just a follow-up. Prime Minister Fukuda is also known for his dove-like stance toward Korea and China. How does the U.S. feel about that? Do you feel that there's going to be more stability also in the cabinet?

MR. CASEY: Well, I'd like the Prime Minister to be able form his government and actually make some decisions about policies before we respond to it. But certainly, I think that the fundamental interests of the Japanese Government remain the same; that includes our common interest in seeing an end to North Korea's nuclear program. It includes our common interest in seeing Iraq develop as a peaceful, stable democratic country in the Middle East. And certainly we will work the Prime Minister and his government on those issues as we move forward, and we'll be very interested in hearing anything he might have to say or offer in terms of new ideas in those areas.

QUESTION: Are you expecting more stability under this cabinet than its predecessor?

MR. CASEY: Well, I think what I'll do is leave the political prognosticating to folks in Japan. There are plenty of people that do that around here. I'm sure you can find a few of them to give you that -- give you some thoughts on that.

非常に柔らかいトーンだが、日米関係(同盟)の重要性と、イラク、アフガニスタンでのオペレーション、北朝鮮の核プログラムでの協力、日本の政権の安定を期待する内容である。

その他ジャーナルでは、(New York Times) (BBC) (Le monde) この辺りはあたりさわりのない、総理就任経緯と政局運営の厳しさ、年齢の問題、父、福田元総理などに触れている。国内報道とさほど変わりない。

中国と韓国の反応だが、こちらも、日中、日韓の協力、友好の重要性を報じている。

人民日報)(中央日報

■福田総理就任前の総裁選時のTIMES ONLINEのリチャード・パーリー氏の分析だが、少し、興味深いところがあるので引用する。

Mr Fukuda, by contrast, is restrained, austere and tactful to the point of being boring, and belongs to the wing of the LDP which seeks to balance Japan’s military alliance with the United States with close and sensitive dealings with China. At 71, he is the choice of the older generation of LDP politicians who feared that they had been passed over by the succession of Mr Abe, a relative junior at 52.

He has served as chief cabinet secretary, the government’s chief spokesman and co-ordinator. Although he has never had a ministry of his own opinion polls have shown that he has the trust of Japanese business.

The LDP selects its leader by a combination of votes cast by MPs and by the representatives of regional party chapters. This time, their decision will be based not so much on ideology. as on which leader can do most to save the party.

最後の段落だが、これは、自民党総裁選の手続きについて、書いているのだが、(今、自民党リーダーが党を救うためになんでもするためには、党員、自民党議員の選択は、イデオロギーにそれほど基づかないだろう)  注意()は管理人の翻訳です。

■安部前総理が比較的、ナショナリスト、タカ派と論じられたとの比較・差異の強調なのだろうか、現状、福田総理は、「穏健で安定的」「ハト派」と論じられることが多い。管理人は、安倍前総理が「剛」、福田総理には、柔軟にの期待を込めて「柔」をあててみたい。Baatarism殿は、バランスシートにかけた上で、冷静・冷酷の「冷」をあててらっしゃる

もうすでに取り組むべき問題は、顕在、山積している。福田政権には、イデオロギーなど構わず、「やるべきこと(内政が中心であろうが)」をやるしかない。福田政権が長期政権になる可能性は低いが、「福田で選挙に勝てるのか」は、やるべきことをやってから、結果は、自ずとついてくる。

かなり拘束された、厳しい政局運営だが、総理ご自身が「背水の陣」だと述べているので、管理人は、馴染みある京都から、福田「清水の舞台」内閣と命名する。ぜひ、清水の舞台から飛び降りる覚悟で、各々の職責を全うしてもらいたい。

■小沢民主党は、早期の解散総選挙、政権獲得のために、これまで述べてきたように批判優先の姿勢で臨むだろう。福田政権は、この際、情報を出来る限り透明化し、国民に丁寧な説明をした上で、民主党にも同じことをしてもらえばいい。つまり、テロ特なら、対案をだしてもらうなど。その上で政策論争をして、調整、妥協、合意に至れるのなら、そうすればいい。兎に角、両党ともに、わかりやすく、政策を説明して頂きたい。今、多くの国民が求めていることは、そういうことではないだろうか。管理人なら、それを判断材料に次の選挙に臨みたい。(今回は、政策論点は、割愛した。又、機会を新たにエントリしたい)

■尚、エントリ当時とは、関係各国の国内事情、又、シリアとの核コネクションなど、変化が見られるが、管理人の対北朝鮮拉致問題へのスタンスは、基本的には変わらない。少し挑発的なエントリだが、コメント及び、レスも含めて参照、頂けるとありがたい。(日朝関係の今後

*今日の一冊:『戦後日本の宰相たち』 渡邉昭夫編 中公文庫

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