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2007年9月30日 (日)

新司法試験・法科大学院に対する所感

■少し古いが、この9月21日に結果が出た、新司法試験の結果と法科大学院(ロー・スクール)と日本の法曹に対する所感を述べる。

管理人が、小学生のころ、再放送かどうかはわからないが、アメリカのTVドラマ『L.A. ロー』というのがやっていた。管理人も弁護士の巧みで、説得力ある最終弁論には、わくわくしたものである。恐らく、小学校の卒業文集には、将来の夢をみなさんも書いたとは思うが、管理人は、「アメリカン・ロイヤー」と書いたと思う。その道には、進んでいいないが・・・(笑)

何故、今年の試験を取り上げるのかと言えば、少し意味がある。一般に、未修者(法学部卒ではない)が、受験する初年度だからである。

■まず、この新司法試験とは、平成16年に法改正され、法科大学院修了者が受験する試験である。もう少しその目的も含めて、大きく見れば、開かれた法曹、国民のための、より身近な法曹、国民参加型の司法という、裁判員制度同様、司法制度改革の中核を担うものである。多少、Wikiが参考になるかもしれないので、付記しておく。(参照)又、こちらのサイトも参考になるかもしれない。(参照

■この度のエントリは、司法制度改革全体まで、射程を広げるものではない。あくまでも、法科大学院とその修了生に、限定する。

その上で、まず、この法科大学院が何故、現在の形態になったのか、少し、経緯を説明したあと、今後の予測と展望についてコメントする。

■以下が、今年度の結果である。詳しくは法務省のページへ(参照2

全体の受験者は4607人で合格者は1851人。合格者は前回より842人増えたが受験者数も倍以上で、合格率は前回の48.3%から40.2%に下がった。合格者の年齢は56~24歳で平均は29.2歳、女性は28%の517人。未修者は1965人中635人、既修者は2642人中1216人が合格した。引用元:http://news.goo.ne.jp/article/asahi/life/K2007091304130.html

全体としては、合格者が受験者のおよそ40%あたりであろうか。ちなみに、2011年をもって廃止される予定の旧司法試験、こちらは、まだ結果が出ていないので、昨年のものを紹介すると、受験者数30,248人・合格者549人(合格率1.81%)と相変わらず、狭き門になっている。

■なぜ、現在の法科大学院がこのような形態、結果をもたらしたのかは、法務省と有識者からなる司法制度改革をめぐる法制化のやり取りに一因ある。具体的な名前は出さないが、当初、法務省は、旧帝国大学のみ法科大学院を設置し、定員を設けて、その最終修了者には、司法修習に行ってもらい、ほぼ、100%に近い合格者が、法曹界に加わる予定であった。これは、アメリカ型のロースクールと方向性は、ほぼ同じである。(実は、管理人、この有識者のお二方から、法律を学ばせて頂いたし、その分野においては、大変、尊敬している)が、ここで、待ったがかかる。現在でいう旧司法試験合格者の多い主に、有名私立大学から、批判が出たのである。これは、当然のことだと思うが。そこで、法務省は、では、私立大学も数校、選びましょうということになり、もう、こうなってしまうと、何故、私の大学は、選ばれないのかという批判が相次いだ。そこで、法務省は、ロースクールは、自由に作ってください。ただ、こちらで、定員を設け、試験します。という話で、落ち着き、法制化され、現在の状態である。とても、アメリカ型とは、程遠くなってしまった皮肉がある。以上が簡単な経緯である。

■今後の予測と展望だが、合格者を一定人数ださない法科大学院は、潰れていくだろう。又、従来の旧司法試験と大差がなくなってくるように思える。つまり、法科大学院の序列化である。さらに、危惧されているのは、その法律適用能力の低下である。つまり、クオリティが下がるとのことである。ただ、これには、賛否両論ある。主に、弁護士の数が圧倒的に少なく、それも、東京、大阪の民事案件に集中している。これを、刑事案件や、より、地方にもというのは、大変わかるが、刑事事件や、地方の案件は、儲からないのである。これは、今後、恐らく法曹(主に弁護士)は、増えていくのだろうが、数だけ増やせばいいという安直な問題ではない。私の知り合いの弁護士さんに聞いて見ても、見解は、否定的である。例えば、次のような弁護士さんのサイトがある、少し引用させて頂く。

黒猫のつぶやき様)新司法試験の合格水準が上記程度のものであるとすると、おそらく新司法試験合格者の大半は法律事務所に就職できず、単なる院卒扱いで一般企業に就職するしかないという事態になるのではないでしょうか。黒猫でさえ、こんな試験しか通っていない弁護士では、たとえ採用しても当分は免責審尋要員にしか使えないだろうし、給料も事務員の幹部レベルよりは低くせざるを得ないな、と思ってしまいます。
 また、任官や任検にあたっては修習中の成績が大きく影響するので、少なくとも起案能力が旧試験合格者と同等以上のレベルに達していなければ、希望しても不採用になるのは目に見えていますし、旧試験合格者ですら学歴などで絞り込んで採用する大手渉外事務所は、よほど卓越した能力や特殊技能などが認められなければわざわざ新試験合格者を採用するとは思えませんから、よほど実力に自信がない限り、新試験合格者はこれらの進路は諦めた方がいいと思います。(ちなみにこれは、昨年度の記事です。)
今年度の分析は、こちら、(法務省統計で見る今年の新司法試験

■引用記事と同時に、法科大学院はでたが、合格できない人数も増えていきそうである。その受け皿をどうするのだろうか。

確かに、現在の弁護士が、数が増えて、競争にさらされ、これまでの収入を減らすのが嫌なだけだろうという批判も確かにあるし、そのような側面がないわけではない。

しかし、アメリカのように、競争原理が働き、優秀な弁護士が多く輩出されることを期待するが、それは、同時に、弁護士だけでは、生活出来ない人も生まれるという現実も直視しなければいけない。(実際、アメリカでは、食べていけない弁護士は、山ほどいる)

以上、上記にも書いてきた通り、法科大学院生の行く末を見れば、一般化は出来ないが、かなりの、無理がある。現在の法科大学院生には、目的に向かって頑張ってもらいたいが、率直に言えば、この制度は、失敗である。早くも、制度改革の改革が必要である。結局、得をした(儲かる)のは、司法試験予備校(法科大学院入学予備校)だけなのか・・・。

*今日の一冊:『日本人の法意識』 川島武宜著 岩波新書

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コメント

とんでもない法律屋さんが増えそうですね。

投稿: SAKAKI | 2007年10月 1日 (月) 20時54分

SAKAKIさん

いつもコメントありがとうございます。

高校生ぐらいの時に考えたことがあるのですが、現在、弁護士の相談料が、およそ、30分で、5000円ぐらいですね。旧司法試験で、あともう少しでという合格という人たちが、結構いるんですよ。このセミプロ集団で、起業できないか考えたことはありますね。ただ、どこまでという範囲はあるのですが、現在の法制度では、無理だと知り、このアイデアは、没になりました。(笑)

ただ、教員免許導入などをするぐらいなら、法曹、医師、看護師の資格免許の更新を5年か、10年に一回は、した方がいいと思います。法律も改正されたり、増えたりしますし、医療、看護の研究、技術も日々、新しくなってますから。

コメントありがとうございました。

投稿: forrestal | 2007年10月 1日 (月) 23時08分

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