« 民主党の外交政策を考える | トップページ | 6年目の9.11 »

2007年9月10日 (月)

安倍総理の気迫:テロ特措法

■本日、安倍総理の所信表明が行われたが、それ以上に、APEC終了後の記者会見で、安倍総理が「給油活動継続」を国際公約にし、継続延長できなければ、自らの退陣を表明した。管理人は、総理の静かながらも、はじめて、その気迫を感じた。

(安倍総理)
 9・11同時多発テロにおいては、24名の日本人の尊い命が奪われた訳である。このことを忘れてはならない。「テロとの闘い」について、国際社会が今、連携して取り組んでいる。今後ともテロを許してはならない。その中において、国際貢献を果たしていくということは、私の主張する外交の根幹の一つであり、何としてもこの活動は継続をしていかなければいけないと考えている。
 国際社会から高い評価、そして期待されている自衛隊の補給活動を継続していくための法案をこの国会に提出をしなければならない。そして提出をした以上、成立を何とか果たしていかなければなりません。
 提出をするにあたって、まず、民主党をはじめ、野党、特に民主党の皆様のご理解を得るために、私はあらゆる最大限の努力を払わなければならないと考えている。そのために、全力を尽くしていく、職を賭していくという考えで臨んで理解を求めていかなければならないと思う。小沢党首との党首会談についてもなるべく早い段階でお願いしたいと思っている。

引用元 :首相官邸HP

■このテロ特別措置法については、以前にすでにエントリしている。テロ特措法の今後

このエントリ及び、コメントレスと内容は重複するかもしれないがご了承頂きたい。

すでに、自民党内では、小泉政権時に、防衛大臣を務めた、石破氏、中谷氏など、11名からなるPTが、継続のための新法に向けて動き出している。又、与謝野官房長官は、参議院で否決されても、衆議院で再び可決すればよい旨の発言をし、民主党はじめ、野党を牽制している。

管理人は、安倍晋太郎氏が総理になる機会を逸したこと、又、祖父、岸信介の「安保改定」が頭をよぎった。岸信介元総理の安保改定も、最近では、前小泉総理のイラク自衛隊派遣でも、決して賛成が多数であったわけではない。むしろ、岸元総理のときなど、国内世論は、反対の嵐であった。この度のテロ特別措置法あるいは、新法になるのかも知れないが、国内世論は、反対が多いのだろうか。

今回は、今国会で、政争の具になっている、自民党、民主党のこの法案をめぐる戦略と管理人の見解を最後に述べる。

まずは、テロ特別措置法をリンクしておく。(おおまに、3つの任務があるが、非常に広い解釈ができる。)

■民主党の戦略は、国政調査権を使って、任務を透明化させ、現在の法律に適合していないことを明らかにし、説明責任を求め、自民党のロジックを崩すというものであろう。

そもそも、この法案の何が問題なのか。(安保理決議を根拠にして)

①アフガニスタンでの多国籍軍の活動が沖合までおよんでいないこと。

②アフガニスタンのテロ対策支援用ではなく、イラク、その他へシフトしている可能性があること

つまりは、この法律の当初、目的としていた範囲外の活動であることと、これまで、国民に対して充分な説明がなされていないことあたりが争点であろう。

■自民党は、この上記に対応するための新法つくりに入ったのだと思うが、①に関して管理人に言わせれば、日本が行うのは、支援活動であり、沖合からでも、その支援活動は、可能かつ最も安全である。

②に関しては、これも、15%がアフガンで、残り85%がイラク・シフトしていると言われているが、仮にそうであるならば、以前にも書いたが、任務の追加、修正は必要であろう。

ただ、物理的な地理ではなく、概念上の地理であるとか、そのような地域に及ぶこともあるという説明では、正直、通じない。

自民党は、安倍総理の内閣総辞職発言を受けてか、自民党の信頼回復のために、安倍総理を批判した議員も、この度は、総力を挙げて、取り組んでいる。安倍政権、自民党としては、民主党との調整・妥協、ある程度、含みをもたせた新法で、国民に説明し、継続させるべきできある。確かに、日本は、法治国家であり、超法規的措置は、許されることではないが、法律で、厳しく、雁字搦めにしてしまうことは、管理人は反対である。フリーハンドも危険であるが、柔軟性のある対応のとれない法の運用も同様に危険ではないか。そもそも、全てを規定できるわけではないであろう。又、小沢代表がそれほど、安保理決議が必要だと言うなら、雪斎殿のエントリ(安倍晋三の破釜沈舟)にもある、安保理決議を外務省はじめ、外務大臣にとるよう働きかけるという提案もある。

ただ、管理人は、このテロ特に関しては、ある意味、民主党は、じらしじらしではないかと思う。恐らく、年金、農政、事務所費問題で、攻めた方が、国民にはわかりやすい。

管理人の視点は、日本の国益から演繹したものである。法学者ならまた、まったく逆の見解になるかも知れない。

最後に、ひとつの外交政策だからと言って、外交目標がひとつとは、限らない。複数ある場合もある。もちろん、プライオリティは、存在するが。

そういう意味では、このテロ特別措置法は、

①日米同盟の円滑化(強化)

②アフガンニスタンのオペレーションへの参加(対テロ戦争の一員)

③中東から、シーレーンにかけての監視、情報収集(主に中国など)

④リムランド(沿岸部)へのプレゼンス

などなどである。このような総合的な判断が必要である。それにしては、ミニマム・リスク、コスト、マキマシマムベネフィットではないだろうか。つまり、コスト・パフォーマンスが良いのである。、又、外交のオプションを増やす可能性を高める。

このことによって、「自由と繁栄の孤」 インドや中東へのサポートや、経済活動の活性化の足がかり、又、以前にも書いたが、アメリカとの交渉のバーゲニング・チップや、欧州との連携・協力などがあるだろう。とにかく、この中東からのシーレーンは、日本にとって、極めて重要である。特に、エネルギー分野を見れば顕著である。

安倍政権と共にはじまった、このブログだが、100回目のエントリも安倍政権に関わることになるとは。。。

今日の1冊:『世界を動かす石油戦略』 石井 彰、藤 和彦著 ちくま新書

|

« 民主党の外交政策を考える | トップページ | 6年目の9.11 »

「国内政治」カテゴリの記事

コメント

安倍ちゃん・・
気迫が伝わるようになりましたね。
考えてみれば衆議院で再可決可能ですから、むしろ今は自民党の浄化のためカネの問題を洗いざらいにするのも良いかも知れません。みんなでやれば怖くない(笑)。
もう国民は、安部イジメと考え始めていますので、支持率が騰がってくるかもしれませんね。
 しかしまぁ、私も含めて節操のない国民が多いこと(笑)

投稿: SAKAKI | 2007年9月11日 (火) 22時00分

SAKAKIさん

コメントご丁寧にありがとうございます。

正直、あの記者会見での総理の目は、恐かったですね。

ただ、このような退陣論を公言すると、坂を下るように、支持率は、下がるんですよ。もう、そんなことどうでもいいと開きなおってるのかもしれませんが。。。

残念なのは、小沢民主党ですね、反対なら、その理由(安保理決議がないから駄目だで、納得しないでしょう)を丁寧に説明し、出来れば、代替案を出してもらいたかったですけどね。(これから、批判だけでなく、やるんでしょうか)

恐らく、新法にして衆議院再可決になる確率が高いですね。国会承認を内閣閣議決定ぐらいに変えるでしょう。

ただ、自民も、民主もこの法案に関しては、どちらが痛みが大きいのでしょうか、現状、ともに、国民には、イメージダウンでしょうね。どちらが、そのマネージメントが出来るか、特に民主党は、政権担当能力が試されています。

自民党も新法に関しては、国民に的確かつ丁寧な説明をしないといけませんね。

コメントどうもありがとうございました。

投稿: forrestal | 2007年9月11日 (火) 22時44分

こんばんは。
安倍首相の「気迫」ですが、うーん。。。
洋上給油が各国で非常に評判がよかったので、勢いで言っちゃったんでしょうか?
今までが今までなので、まだあまり信用していません(^^;

ただこれで、前日までの「責任押し付け合い」の様相は一変しましたね。
ヤケクソでないとすれば、民主党の最大のネックは外交・安全保障政策ですから、これに論点を絞るというのは巧妙な作戦だと言えます。
どこの策士が知恵を授けたのか? と勘ぐりたくもなります。
まあ、今までの「民主党は自治労が支持母体だから改革できない」とかトンチンカンな野党批判がダメすぎただけなんですが・・・。

惜しむらくは内閣改造をさっさと済ませ、参院選にこの論点・この覚悟で臨んでいれば・・・。
今更言っても詮無いことですが、これも「KY」安倍首相のキャラクターなんでしょうねえ。
与野党問わずスキャンダル暴露合戦、魔女狩りに近い異常現象で、みんなウンザリしているでしょうから、そろそろ足の引っ張り合いは止めて建設的な議論を期待したいです。

投稿: 板倉丈浩 | 2007年9月12日 (水) 01時32分

板倉様

いつもコメントありがとうございます。

「気迫」としたのは、まあ、ヤケクソかもしれませんが、毎日新聞では、真偽は、わかりませんが、この進退をかけてのコメントは、事前に準備していたとありましたが、とにかく、この洋上給油継続法案は、何が何でもいう、他はもうどうでもいいぐらいの恐さを感じたんですよね。だから、決して、そんなポジティヴな意味ではないですよ。恐らく新法になると思いますが、その法案を通して、やめてしまいそうな、そんな感じでしょうか。そんな腹をくくった「気迫」が垣間見えたような気がしたんですね。

仰る通りで、民主党の最大のネックは、外交・安全保障政策ですね。この洋上給油に限らずですが。

小沢代表は、国会論戦で、徹底的にやるとは言ってますが、批判も確かに大切です。野党ですから。ただ、それは、共産党に任せておけばいいのであって、自民党のロジックをどう崩して、なら、民主党は、このようにするという対案が欲しいんですよ。
それが私は、政権担当能力を示すことだと思っています。そして、その対案の真意を国民に問うぐらいの覚悟で臨んでほしいと思っています。

確かに、内閣改造前と後では、布陣が逆でしたね。

たしかに、対決姿勢で批判優先なのは、わかりますが、魔女狩りは、もうウンザリですね。ダメダーダメダばかり聞かされても、前には、進みません。

板倉様、同様、日本の国益、国民のことを第一に考えて、生産的かつ建設的な政策論争を期待します。

コメントありがとうございました。

投稿: forrestal | 2007年9月12日 (水) 02時27分

f orrestalさん、初めまして。
コメントをどうもありがとうございました。
過分にお褒めいただいて、恐縮しております。

私は政治にはまったくの素人なのですが、(企画デザイン畑)
米国在住なもので、9/11以来どうしてもテロとか戦争のニュースが気になり
メディアウォッチングしております。
ブログでもほとんどが米国メディアの翻訳紹介ですが
時折、義憤がたまってきますと、真情吐露の作文をつけております。
(ほとんどがブッシュ政権に対する怒りですが....)

私もこちらへは初めてなので、今後ぜひ参考に読ませていただきたいと思います。
よろしくお願い申し上げます!

投稿: ysbee | 2007年9月12日 (水) 10時39分

ysbee様

はじめまして、ご丁寧にコメントありがとうございます。

一応、国際政治のアメリカ外交史などを、専攻にダラダラ、院生しておりました・・・(笑)

息抜きのブログですので、参考になるかは、わかりませんが、こちらこそ、どうぞ、今後ともよろしくお願い申し上げます。

コメントありがとうございました。

投稿: forrestal | 2007年9月12日 (水) 10時58分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/179808/7888556

この記事へのトラックバック一覧です: 安倍総理の気迫:テロ特措法:

» 「テロ特措法」 衆院での再議決か [王様の耳はロバの耳]
衆院での再議決辞さず 継続法案否決に政府方針(共同通信) - goo ニュース 10日第168臨時国会が開会された。 新聞記事もTVニュースもいきなり所信表明の中で「テロ特措法の延長問題」に触れている。 {/hiyoko_cloud/} 9日には日米豪の会議で「ブッシュ大統領に圧力を掛けられたのか、給油活動は対外公約だ」とその後の記者会見で「継続の為の法案を提出して成立させたい。」と述べ「〔活動が継続出来なければ)職責にしがみつく事はありえない(成立に)首をかけ、出来なければ辞任するとの意であろう... [続きを読む]

受信: 2007年9月11日 (火) 13時22分

» [特措法]職を賭すとはまた穏やかでない [BBRの雑記帳]
取りあえず、現状ではこれが動かないことには政権が止まるのは間違いないですが、記者会見の答え方はなんだか目が泳いで、一旦終わりかけた回答を継いで言ってしまった感があります。 インド洋での給油活動、継続できなければ退陣・首相表明(NIKKEI NET) (元ニ...... [続きを読む]

受信: 2007年9月11日 (火) 21時00分

» 地の果てへの旅・序章「戦場のジャーナリスト」 [米流時評]
 ||| 戦場のジャーナリスト ロッド・ノードランド |||  米国きっての行動派、戦場のジャーナリストが書き下ろす、   アフガン戦争の大地トラボラ再訪の手記『地の果てへの旅』 ロッド・ノードランド。この名が『米流時評』に上るのはこれが初めてではない。昨年の『楽園通信』5月26日号が最初だった。彼は、米国を代表する時事週刊誌『ニューズウィーク』の、当時は中東支局長だった。紹介の記事は「アルマリキ政権初のイラク再建案スクープ」という内容で、国家再建への約束を国民と世界に向けて発表した、イラク... [続きを読む]

受信: 2007年9月12日 (水) 10時52分

» 特報!安倍首相辞意表明!! [米流時評]
   ||| 特報!安倍首相辞任を表明 |||辞任の理由「これ以上牽引するのは無理、現状打開のため辞任」 東京発・ニュース速報 |日本の安倍晋三首相は水曜、これまで連続して起きた一連の閣僚のスキャンダルと先月の総選挙での惨めな敗退を喫した1年にわたる政権の座に終止符を打つため、首相の座を辞任すると表明した。 Japanese Prime Minister Abe says he will resign Move follows year of scandals and electoral ... [続きを読む]

受信: 2007年9月12日 (水) 17時37分

» 日本にとってテロ戦争とは何か? 特措法、日本のとる道 [米流時評]
     ||| 日本が向き合うテロ戦争の明日 ||| 日本の平和とテロ戦争との見えない距離をさぐる特別措置法を考える アメリカがくしゃみをすると日本が風邪を引く。これが戦後日本が否応無しに座らされた「自由主義社会」と言う教室での位置である。アメリカの政権が共和党と民主党の間でドッジボールを繰り返す間も、日本では「戦後日本の復興」を旗印に、自民党が常に国会の優位を占め長期安定の国勢をリードしてきた。野党連合が一時期主導権を握った動乱期もあったが、自民党は与党一党としての優位性を何とか継承し続... [続きを読む]

受信: 2007年9月13日 (木) 07時42分

» 小沢民主党がカレーライスなら、福田自民党はライスカレーだ。 [罵愚と話そう「日本からの発言」]
 国論を二分しているのは、改革を続けるのか、中断するかだ。格差の補正はあるにしても、それでも続行するか、やめてしまうのかの議論だ。ふたつめの論点は、憲法改正だ。教育改革にも連動するから国家観、歴史認識と呼んでもいい。小沢民主党は、党内は分裂気味だが、改革中断、護憲といっていい。自民党も、さらに激しく分裂していて、その左側の連中が寄せ集まって福田自民党をつくろうとしている。したがって、これもまた、改革中断、護憲だろう。看板は中間色でも実態はおなじだ。  民主党には辛光洙の逃亡を手引きした菅...... [続きを読む]

受信: 2007年9月15日 (土) 03時01分

« 民主党の外交政策を考える | トップページ | 6年目の9.11 »