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2007年7月30日 (月)

参議院選挙の簡単な総括

■参議院選挙の結果がでた。大方の予想通りではなかっただろうか。

参院選:民主、結党以来の大勝 「格差」不満受け皿

 民主党が躍進する一方で、自民党は歴史的惨敗という結果に終わった今回の参院選で、両党の獲得議席を見ると、民主党が「1人区」(改選数1の選挙区)▽「複数区」(同2以上の選挙区)▽比例代表--のすべてで自民党を上回った。こうした状況は98年4月の民主党結党以来初めて。

 民主党は1人区で04年の9議席から17議席とほぼ倍増。これに対し、自民党は14議席から6議席に減らし、89年の3議席に次ぐ少なさとなった。民主党の1人区躍進の要因は、年金記録漏れ、格差問題、相次いだ閣僚の不祥事など、与党の失策で追い風が吹いたことにあると見られる。とくに格差問題をめぐっては、1人区が多く抱える農村部で小泉政権下で進んだ地域間格差に対する不満がたまっており、今回の参院選を機に一気に噴出したと見られる。

 さらに、4月に行われた統一地方選では、民主党が44道府県議の獲得議席数を03年の計205議席から計375議席に伸ばしており、これも同党の躍進の条件を整えたと言える。同党若手議員は「県議がいなかった時は農村部を回るにも行ける所がなかったが、今回は県議を中心に組織戦ができた」と振り返り、党の足腰が強化されたことを強調する。

 ただ、44道府県議の数は自民党の1212議席に遠く及ばない。今回は「敵失」による突風に助けられた側面がある。本当に足腰が強化されたかどうか、真価が問われるのは次回以降の国政選挙となりそうだ。

 一方の自民党の得票傾向はどうだったのか。人口密度に応じ、各選挙区を(1)都市型(2)準都市型(3)農村型--に3分類し、同党の得票率の変遷を見てみた。

 農村型の選挙区は、「小泉ブーム」で躍進した01年には50.5%だったが、04年には44.1%に低下。今回はさらに減って37.8%となっており、1人区で振るわなかったことを裏付けた。以下、略・・・

毎日新聞 2007年7月30日 12時47分 (最終更新時間 7月30日 12時53分

■この度の選挙は、自民党は、負けるべくして負けたわけだが、つまり、前回の郵政選挙で、勝ちすぎたのであり、それと比較すれば、その時点で、どれだけという程度(議席)の問題で、その揺れ戻しが来ることは、多々ある。今後、その揺れ戻しの原因分析は、研究者の対象になるであろう。詳しくは、そちらを参照してもらいたい。

若干の海外メディアの記事を紹介したあと、私見を述べる。

■Economist紙の記事から一部、抜粋する。

He was relentless in attacking the prime minister’s many weaknesses, starting with his sense of priorities. Where Mr Abe is obsessed with ideological matters, such as revising the pacifist constitution and instilling patriotism in schoolchildren, voters are concerned about money. In particular, while Tokyo, Osaka and other big cities are enjoying the fruits of economic recovery, rural regions continue to miss out. Mr Ozawa’s party targeted rural constituencies, emphasising inequality and the problems of small farmers, and the tactic paid off. As well as sweeping the cities, the DPJ scored well in the countryside, once the LDP’s undisputed turf.

And at every turn, Mr Ozawa’s party attacked Mr Abe’s competence, an easy enough target perhaps. A string of ministerial scandals and verbal blunders during Mr Abe’s brief administration suggest poor judgment at least. At worst, Mr Abe’s choice of cabinet and his inability to impose discipline on it suggests he is not up to steering the ship of state.

Despite the humiliation, Mr Abe pledges to carry on and promises a cabinet reshuffle. Meanwhile, a new secretary-general for the LDP will have to be found to replace Hidenao Nakagawa, who has resigned. A putsch within the party is possible, but who would risk his political life leading one? Indeed, who would want Mr Abe’s job? The DPJ promises to use its upper-house majority to make his life hell. The prime minister may stumble on for a while, perhaps for several months. But the strain may eventually tell, and he may resign or call a general election, which the LDP may lose. With two deeply troubled parties a bleak period now beckons for Japanese politics as well as for the prospects for reform.

その他、Financial Timesの記事も、BBCの記事も、さほど、内容に変わりはない。

■安部総理は、続投の決意表明をし、内閣改造、人事の刷新に取り組み出直す模様である。安倍総理は、これまで、外交では、柔軟性を示し、総理の取り組みたい、外交・安全保障、教育問題、憲法問題などで、法案を通し、そういう意味においては、着実に実績を残してきた。しかし、大方、国内外のマスコミでも必ず触れられているのが、相次ぐ、閣僚のスキャンダル・失言問題と年金問題である。

個人的には、気の毒な所もないことはないが、前小泉総理と比較されるのは、まだまだ早い。安倍総理が半ば、強引とも言える形で、積み重ねてきた実績は、短期的に、敏感に反応する、世論には、反映していない。(もちろん、広報戦略のまずさもあるのだろうが)

橋本元総理も外交では、多くの実績を残している。ただ主に、経済が(不良債権処理問題や消費税の問題など)、国民が身近により切迫した問題が争点化し、結果、敗北、退任したわけだが。

何度も、言っていることだが、成熟した民主国家では、選挙というのは、内政に向かうものである。それゆえ、中道路線をとらなければいけない面が多い。(より、身近な問題)

つまり、国民の常識と安倍政権の常識があまりに乖離していたということである。

そもそも、憲法や、安全保障は、選挙の争点になるものだろうか。平時から、常に意志表示をし、必要ならば、法的・制度的枠組みを整えればよい。

又、地方1人区での敗戦が大きい。ご存じのとおり、財界は、民主党支持にまわっているし、地方においては、言い方は、悪いが、その既得権益の消滅ともいえる。又、それに対してのマネージメントがまったくできていなかったというのも事実であろう。

ただ、この度の選挙は、盛り上がりに欠け、政策論争にあまりならなかったのが残念である。

■では、今後の政局運営はというと、管理人は、以前にも、エントリしたが、この責任をとって、安倍総理は、やめるべきではない。内閣改造、党人事も刷新されるだろうが、総理、自らとは、考えの異なる(良い意味で、批判的アドバイスのできる)人選が好ましい。

経済政策では、ポスト日銀総裁が注目を集めそうだが、現状、これも人事に変化があるかはわからない。

今後は、参議院で、民主党をはじめ、野党が議席過半数を有した以上、これまでのように、法案化が出来ることはないだろう。民主党との協力、超党派での妥協が必要になる。

が、国民投票法案時のように、小沢代表の対決姿勢が正当化された以上、民主党は、オルタナティブでの連携というよりは、対決的なスタンス(批判優先)での、なかば、硬直的な状態がしばらく続くのではないか。

外交に関して一言いえば、とにかく、与党政策・法案に反対姿勢を取る蓋然性が高いだけに、日本の国益をよく考えて、政局内でのパワーゲームは、ほどほどにしてもらいたい。

それゆえ、管理人は、大筋、変わらないと見ているが。。。

管理人は、悲観も楽観もしていない。国会の権力分割が行われた以上、参議院をはじめ、日本の政治制度を見直すよい機会になればいいのだが。。。

最後に、厳しく言えば、官邸機能強化(官邸・内閣主導型)と、仲間内でまとまるのは、違うのである。常に国民を向いていなければいけない。

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コメント

TBありがとうございます。

 美しい国を目指すといいながら、郵政造反組の復党からお友達人事、閣僚の醜聞は隠す、なんだかわからないうちに多くの法案が可決したけど国民生活に直結しない・・どこが美しい国??というのが普通の見方でしょうね。今のところは嘘つき安部なんでしょうね。
 一見、温厚そうに見えるけ安倍ちゃんですが、ああいうタイプがイチバン怖いと漏らす御仁も多いです。
 今回は株やっている仲間は自民は大敗しないと予測していました。経済政策的には間違っていないからですね。ところが現実はコレ・・信義を重んじる国民が予想以上だった=国民の方が美しい??のかなぁ・・。
 このコメント・・ネタにしよ(笑)
 

投稿: SAKAKI | 2007年7月31日 (火) 09時23分

SAKAKI様

いつもコメントありがとうございます。

まあ、あの「美しい国」というアイディアの提起者も。。。個人を特定化して対象にするコメントは控えましょう。

英語にすると、「beautiful country」ですからね、私の知る知人の欧米人に言わせれば、これは、自然や風土の美しさしか想起できないということでしたね。

安倍総理は、懸命にやっていると思います。ただ気負い過ぎて、空回りですね。周りが見えなくなっている感があります。頑張ろうとすればするほど、余裕がなく映る。

概ね国民というのは、いろいろ争点があっても、この人なら、(この人がいる)政党なら、信頼できる、安心できる、そういう感情的な要素が支持率や、選挙に反映されるのではないでしょうか。

そういう意味では、上記に書いた通り、安倍内閣は、心もとないというか、不安というか、そういう印象を与えてますね。

経済に関しては、当面、好調だと思います。特に大企業をはじめ、小泉政権時からの成長安定路線に入ってますから。ただ、この利益を享受できる人も限れらているということですね。

話は、変わりますが、今週のお勧め本を一冊w

私が、日本政治外交史で、尊敬してやまない、五百旗頭 眞先生の 『占領期』が、講談社学術文庫から、復刻しております。また、お時間に余裕があればどうぞ。

コメントありがとうございました。

投稿: forrestal | 2007年7月31日 (火) 13時15分

こんにちは。
今回の選挙についての私の分析ですが、こんなところです(長文すみません)。

(1)トップの覚悟

 価値観やニーズが多様化し、政策も複雑でわかりにくくなっている現在、「支持政党なし」の有権者は政治家トップの覚悟に強く反応する傾向が出ています。
 郵政選挙のときも地方は疲弊しており格差問題もあったのですが、公約を守るという信念を見せた小泉首相が地滑り的な大勝を収めました。
 今回の選挙でも、民主党の政策というより、小沢党首が「政界引退」の覚悟を示した(辞任ではなく引退!)ことが大きかったと思います。
 現場の志気も高まったようで、組織的な選挙活動も民主党が他政党を圧倒していた印象です。

(2)責任回避の姿勢

 一方の「どんなに負けても辞めない」安倍政権は、政策面でも責任回避の姿勢が目立ちました。
 年金問題でも、菅直人氏や社保庁職員に責任転嫁しようとしていました(多数の顧客が不安に陥っている状況で、社長が「オレは悪くない。アイツが悪い、社員が悪い」と広言しているようなもので、危機管理としては最悪の対応です・・・)。
 また、選挙日を変更してまで成立に執念を見せたのが、最優先課題とはとても思えない「天下り改革」であったことも問題でした(しかも、これをあたかも大改革のように自賛していました・・・)。
 選挙の実務は市町村が行うわけなんですが、日程変更で現場は大変な思いをしていたようです。
 支持率を上げようと安易な公務員叩き、小手先の改革に走った結果、従来自民党支持の公務員(非組合員が多い)票の大半は民主党に流れたと思われます。

(3)閣僚人事

 よく言われる閣僚人事については、意外と官僚出身者が重視されていたのですが(財務相・厚労相・文科相など)、それが軒並みダメでした(それ以外の閣僚も冴えない人ばかりなのですが・・・)。
 特に御粗末だったのは言うまでもなくあの絆創膏の農水相で、農業はただでさえ先行き不安なのに、それをますます煽るような人事で、地方の農村票は民主党に大量に流れたのではないでしょうか。
 よく「地方の反乱」と表現されますが、怒りというよりは絶望感だと思います。


あと、横レスですが、
>五百旗頭 眞先生の 『占領期』

文庫化されたのですか・・・。2000円も出して買ったのに(^^;
でも、昭和20年から数年間の日本政治は本当に凄いですよね。
この時代の政治家たちも当時の評判は最悪でした。
それでも最終責任者として絶望的に困難な状況と格闘する姿には心を打たれます。

翻って、今の政権が後世評価されるようなことがあるかといえば(安倍首相のいう「使命」とは、拉致問題の解決、集団的自衛権の解釈変更、消費税率の引き上げあたりなんでしょうけど・・・)、これまでの政治姿勢を見る限り、甚だ疑問に感じています。

投稿: 板倉丈浩 | 2007年8月 1日 (水) 15時41分

板倉さま

いつもコメントありがとうございます。レスが遅れて申し訳ありません。

主に、国内のマスコミやネット関係を見ると、安倍総理は、叩かれてますね。

まず、事実確認ですが、安倍総理は、前小泉総理が指名し、党員含めた、自民党議員が総裁、総理に選んだわけです。(だからといって、この度の選挙で責任がないと言っているわけではありませんよ)

安倍総理は、小泉路線を継承しながら、批判(独自色を出していく)していく、そのような路線を取らなければいけません。

又、参議院選挙においては、これはすでに、3年前から、決まっていたことで、安倍総理が就任時には、もう第4コーナーを周ったいたことになります。

また、前小泉総理が半ば、日本の新しい方向性を示さざる得ない、言葉は、妥当ではありませんが、戦時の総理だとすれば、安倍総理には、そのような環境は、もうありません。平時の総理となるでしょうか。

このような状況がすでに、存在していたということになりますね。

小泉ー竹中構造改革路線というのは、早い話が、「小さな政府」ですね。民でできることは、民で行う。従来の政官財の(癒着)構造を、一体型、政治・経済システムを変革していくことにあります。成功しているかはどうか、又、別の話ですが、だから、そのような、族議員や、財と癒着ある議員を敵に廻した、劇場型政治が出来たんですね。

ただ、これは、様々なフェイズで、従来、機能してきたものを、断ったわけですから、機能不全やひずみが出てきます。安倍内政をみれば、それに対するマネージメントが出来ていないと考えます。つまり、安倍総理が取り組まなければ問題のプライオリティは、このマネージメント(具体的にいえば、地方への自律支援、経済成長といっても、これは、一部大企業が好調なわけですから、飛行機で言えば、前輪があがったわけです。その後輪に対する措置、つまりは、総合的な地域間格差と地域内格差に対する、暫時的な措置)であったわけです。又、官僚・公務員に関しても、攻撃するのではなく、上手くコントロールしていく手法を取ってもよかったかもしれません。

安倍総理に前小泉総理と同じことをしろというのは、当たり前ですが、無理です。それを期待する国民も、まだ、前小泉総理の影をみているようです。

安倍総理がこれまでの任期10か月で行った内政は、早急に手をつけなければいけないという問題には、思えません。もちろん、良い、悪いという問題ではありませんが、結果、自民党支持基盤の殆どを失ったの事実でしょう。組織票を見れば、明白です。

人事に関しても、エントリにも書きましたが、批判的アドバイスの出来る人選が、出来ませんでした、又、身体検査が甘すぎます。これほど、情報公開、内部リークが、進み透明化が図られる現在に、甘すぎたといわれても仕方ないでしょうね。ただ、人事は、やらせてみないとわからない部分がありますが。

国際環境の変化、国内政治や社会における、従来路線の問題・ひずみの顕在化、総理・政権自身の脇の甘さに、プライオリティやバランス、アカウンタビリティのまずさ。この3つが相互関連して、この度の結果になったのだと考えます。

ただ、やるべき方向性は、これでよいと思っていますが、バランス感覚ですね、これは、誰か助言してあげないといけません。

又、一度の選挙で、任期1年もならずして、総理の資質云々というを取り上げるのは、早い気がしますが。。。

あまり、コメントのレスにならず、申し訳ありません。

>『占領期』、私も、ハードも持っているわけですが、大変、名著だと思います。本代には、お金がかかりますね。

コメントありがとうございました。

投稿: forrestal | 2007年8月 3日 (金) 02時46分

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