NHK:日本のこれから
■今年は、憲法施行60周年である。この8月15日に、NHKでは、憲法では、最も、論争になりやすい9条を選んだのだろう。
設問は、10問ある。
ご存じの通り、管理人は、改憲派である。憲法9条に関しても、以前にエントリしている。参照して頂きたい。(参照)
管理人は、設問2の「日本の戦後の歩みの中で、あなたは憲法9条の果たした役割を評価しますか?」
まず、この設問に答える前に戦後とはいつまでか、管理人の見解を述べておく。今も、戦後でないかと言えば、そういう考えも出来るだろうが、あくまでも、日本政治を考えた上で、1990年、湾岸戦争の敗北をもって戦後は、終わったものとしておく。それは、日本の経済重視路線、国際問題へのコミットメントのありようが、敗北したからである。
■では、設問に答えたい。このような2分法的な問いは嫌いなのだが、管理人は、比較的、評価している。
憲法9条成立過程、その解釈論は、本旨から外れるので、行わないが、戦後、憲法制定時に与件されていた国際環境が、国連の集団安全保障の機能麻痺、すなわち、冷戦の開始という国際環境の大変動によって、大きく変わった事実がある。
国際社会は、武力の行使よりも、武力による威嚇による、「抑止」によって、安定を保たざる得ない状況であった。
細かな経緯は、省くが、このことが、9条解釈と自衛隊容認となる。日本は、憲法9条を根拠に、自国防衛以外は、実力行使不可能であるという説明が対外的に特に、アメリカに対して、通用した。それゆえ、アメリカの武力攻撃にも、冷戦にも、コミットメントせず、経済重視の路線を取り、発展を遂げることが出来た。又、集団的自衛権に関しても、保有すれども、行使できずという解釈は、上記に記した国際的のみならず、国内的にも、都合がよかった。繰り返しになるが、アメリカをはじめとする、対外的な要請を断り、危険を回避する理由になり得たし、国内的にも、左右両勢力に見受けられた、アメリカの言いなりは悔しいという感情のガス抜きにもなり、戦後日本は、平和と繁栄を追求する独特の国家であるというイメージが、諸外国からの高いイメージ形成のみならず、日本人のナショナル・プライドを満たしていた側面もある。
■以上のように、戦後日本は、軍事に消極的であることで、未曽有の発展・繁栄を果たすことが出来た。もちろん、国際環境要因が大きいのは言うまでない。又、国内環境にも一致してきた。
■しかしながら、冷戦の崩壊、湾岸戦争という国環環境の大変動、又、国内的には、バブルの崩壊と従来の路線は、国際的、国内的環境に一致しなくなっている。
特に、現在は、非対称型の紛争、内戦、WMD拡散の脅威、国際テロリズムの脅威に直面している。
平和構築においても、脅威への対応・対処においても、強制力が必要なのは、言うまでもない。その強制力を明示し、自国の生存、安定をはじめ、国際社会と一致団結して、脅威に対処するための、オプションは、増やしておかなければいけないだろう。
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