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2007年6月16日 (土)

核兵器の有効性

■家族(祖母)の不幸から、なかなか更新できずにいた。時事ネタを殆どおいかけることが出来ていない。。。申し訳ない。

■今回も手抜きである。核兵器・武装については、何度かエントリしてきたが、アメリカのIRs学者の見解(肯定論)を紹介したあと、私見を述べたい。

又、最近、日本の核武装に関する書物もいくつか出ている。管理人は、それはそれで良いことだと思うが、少し、乱暴なものもある。(あくまでも管理人の主観であるが)

ただ、いろいろな議論に触れて、肯定/否定の2元論に帰結する前に、様々な可能性を考えておくことは、重要である。

■まず、アメリカのリアリストの見解に多い、代表的な核武装のメリットを紹介する。

①核保有国同士の戦争を不可能にする

「核戦争に勝てる国は存在しない。核戦争を実行した国は、すべて敗者となる。核兵器は戦争を抑止することには役立つが、戦争に勝つことには役立たない」

(コロンビア大学、ロバート・ジェービス教授)

②核は防衛側に有利な兵器である

「主要国がそれぞれ報復核を持つ体制は、防衛する側が優位になっている状況であるから、大規模な戦争が起こりえない環境である。ニュークリア・レボルーションによって国際社会には、『攻撃不利・防衛有利』という軍事環境が出現したのである。防衛する側が有利になる軍事技術が主流となっている環境においては、諸国間の軍備競争によって国際情勢が緊迫化する、というネガティブな効果が低減される」

(核戦略理論の専門家、チャールズ・グレイザー、シカゴ大学国際政治学者)

③核戦力の使用は予測可能性が高い

「歴史的に見て大規模な戦争の原因となってきたのは、不確実性と予測の失敗である。通常戦力を基盤とした多極世界にあっては、対立する諸国間の実際の戦力を予測することがとても難しかった。その結果、国際社会は不安定であった。しかし、核戦力を基盤とする多極世界では、諸国の実際の戦力を測定するのが容易だ。したがって、核武装した諸国間の国際関係は安定する。
核を保有する対外交政策は、クレディビリティ(信頼性)を持つ。『この国は、核兵器を使用する能力を持つ』と他の諸国が感じることが、核保有国に対する態度をとても用心深いものにしている。したがって核を持つ諸国の間では、『国益を増強するため、軍事力を行使する』という事態は生じ得ない」

(コロンビア大学、ケネス・ウォルツ教授)

④核保有国同士では軍事交渉力の均等化をもたらす

「核抑止力を持つ国同士の関係は、その所有する軍事力に大きな格差があっても、パワーバランスが均等状態に近づく、という現象がみられる。小規模な核戦力しかもたない国も、大規模な核戦力を持つ国に十分対抗できるのだ」

(シカゴ大学、ジョン・ミヤシャイマー教授)

以上、代表的なオフェンシブ、ディフェンシブ、核戦略家の見解である。

■まず、全ての見解に共通している前提がある。それは、アクター関係が国家間であるということである。そして、3C(Communication,credibilty, capability)が確立している。さらに、核抑止機能に重点が置かれ、ならず者国家を想定していないということである。

核抑止のMADが機能するためには、この3Cが必要である。世界が最も核戦争に近づいたキューバミサイル危機に関しても、このとき、ケネディとフルシチョフの間にホットラインがひかれた。このような3Cを確保する外交戦略には、触れられていない。

又、ケネス・ウォルツなどが主張する、テロリストが核兵器を持つことは、物理的に不可能であるという説は、現状、そうなのかも知れないが、核兵器技術の向上とともに、兵器自体も、大変、小型化している。

又、MD技術が向上すれば、先制的に、核弾道ミサイルを、保有国内で、迎撃することも可能になる確率が高い。

それぞれの論者の見解は、上記の前提をもとに、歴史的に、現状をみれば当てはまるが、今後は、どうなるのかという点では、疑問も多い。

■日本の核武装だが、①中国とのMADが成立する、②英米型ですすめる。③旧西ドイツ型のパーシングⅡですすめる。

他にもあるだろうが、上記3点を取りあえず、考えてみたい。

①だが、中国とのMAD成立説は、中国の主要都市(北京・香港・上海)に限ればという限定つきになる。ただ、上記に何度も書いたが、3Cをいかに確立させるのかという問題点が残る。

②に関しては、イギリスは、冷戦期のロシアの核攻撃に対しての、国家の生存がかかっていた。又、アメリカからの見捨てられリスクが非常に大きかった。これが、日本に当てはまるだろうか。

③パーシングⅡというシェアも、東西ドイツという国境分断化で、極めて脅威認識が切迫していた。

以上のようにみると、現状、日本は、どれにも該当しない。又、フランス、ドゴール大統領下のような、強い政治指導、外交・軍事戦略、文化広報戦略の一体型で、自主自立外交が出来る国際環境にもないし、その3つもまだ、そろっていない。

確かに、北朝鮮の核保有は、脅威ではあるが、それは、体制存続のためで、現状、使用される可能性は、少ない。

日本は、IAEA加盟国で、唯一、原子力の平和的だが利用を認められている国家である。

IAEA職員が最も、常駐、監視している国家だと言ってもよい。

そのことは、別にしても、ここ2、3年で、台湾海峡、朝鮮半島で、有事がおこっても、2010年、上海万博後に中国の暴発を予想しても、その時点では、急迫不正であるが、間に合わないのである。

高坂先生が仰る通り、理論的には、日本には、その潜在性が在るゆえ、抑止効果は、持ちうる。

日米同盟は、双務性を上げ、機能的にワークすると同時に、管理人は、日本も近い将来、核武装するだろうと考える。(これは殆ど根拠はないですが)

そのための、外交・軍事戦略、政策の策定、形成に着手するために、日本国民、アメリカ、国際社会と多いに協議すべきである。がそのまえに、協議することは、たくさんあるが。。。

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コメント

俺も、この間、mixiにのせた奴だよ。


>それぞれの論者の見解は、上記の前提をもとに、歴史的に、
>現状をみれば当てはまるが、今後は、どうなるのかという点では、
>疑問も多い。
確かに将来も当てはまるかは疑問もありますね
でもコレに限らず完全な予測は不可能ですからねぇ
そこが国際政治の難しいところですな


ってかこれネット(下のサイトなど)で見つけた奴だから俺読んでないんだよね
別冊正論05に載ってるらしんだけどうちの大学の図書館には別冊の方は置いてなかったorz

http://kagemitsu.iza.ne.jp/blog/entry/112005/
http://ryutukenkyukai.hp.infoseek.co.jp/kakubusou4.html

投稿: ヴォルフ | 2007年6月17日 (日) 03時03分

ヴォルフさま

コメントありがとうございます。

このネタ、ネットにもあったのですねw

仰る通り、国際関係の予測は、不確実性が高いですね。

それゆえ、各論者は、その不確実性を減らす方法の一つとしても、核を用いるわけです。

ただ、あらゆるシナリオを想定し、内的シュミレートし、リスクとコストをヘッジしておくアイデアを持っておくことは、当然のことですね。

私が、強調したいのは、「ある前提」の枠内のみ有効であるということです。現状、中心となると考える、国家中心的アクターを前提にしています。又、ここ数年、より、問題になっている「ならず者」国家も対象から外れる部分があるということです。

もちろん、論点をその枠内に絞れば、又、別の議論になりますが。

つまり、アクターの多様性や、行動パターンというもは、核によって、全て規定されるとは言えません。(当然ですが)

まあ、確実性ー不確実性の話ですから、もっと外交・軍事戦略がいるのですが・・・。

でも、核議論をすることは、有用だと思っています。

コメントありがとうございました。

投稿: forrestal | 2007年6月17日 (日) 23時16分

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