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2007年6月21日 (木)

集団的自衛権・再論

■最近は、UKロックにはまっている。大阪で夏に行われる、サマーソニックのトップランナーを務める、アークティック・モンキーズは、なかなかお勧めである。

そして、寝る前は、印象派のフォーレを聴くという変な音楽の趣味であるw

今夜は、嬉しい注文が届いた、レイモン・アロンの『Peace and War』が届いた。実は、管理人、この本、院生図書館で借りて、読んではいたものの、持っていなかった。これで、落ち着いて、メモ・書き込みしながら読める。

今日は、すでに、このブログをはじめた頃にエントリした、集団的自衛権について、改めて私見を述べる。もう、すでに読んでしまった人には、申し訳ないが、内容は、重複するところがある。

こちらが、以前のエントリである。(集団的自衛権をめぐる議論

■有識者会議がすでに行われているが、そのメンバーからみるに、結論はもう出ているだろう。あとは、日本政府として、どのような解釈にし、制限するかが鍵となる。

これは、前回のエントリの引用である。

国際法の観点から、個別的自衛権、集団的自衛権は主権国家、固有の権利であり、慣習法である。さらに、国連憲章2章4項(武力行使の禁止)の例外として、憲章51条にも明記されている。

国際法上の集団的自衛権の主な学説としては

A 『個別的自衛権の共同行使である』(バウエット)

B 『他国が攻撃された場合にそれを助ける権利である』(ケルゼン)

C 『自国と密接な関係にある国家が攻撃された場合には、それは、自国の独立と安全という法益の侵害にもあたる。それに対して行使する権利である』(ラウターパハト)

現在では、このC説が主流である。

また、その要件として、〈切迫性・必要性〉と〈均衡性・比例性〉がある。

しかしながら、ICJのニカラグア事件の判決では、この2要件に加え、〈重大な武力攻撃を受けたという宣言〉と〈要請〉が判決上ではあるが加えられた。

当時の冷戦状況下の米ソの軍事介入が、上記2要件の付け加えの大きな要因ではあるが、あまり、法的解決になじまないケースで、厳格な規定してしまうことは、権利の権利性を損なってしまう。また、国際環境の変化に対応しにくくなるだろう。

以上が、非常に簡潔ではあるが、大まかな国際法上の集団的自衛権である。

■日本政府の現行解釈では、集団的自衛権は「わが国と密接な関係を有する国が攻撃を受けたときに、わが国が直接攻撃を受けていないにもかかわらず、ともに反撃する権利」としている。これは、上記の引用の中のC説とB説を組み合わせたような解釈である。

では、「密接な関係」とは何だろうか。基本的に、国際法では、その取り決めがあること、つまり、安全保障条約や、それに準する共同文書などがあることである。同盟関係にあることとされている。

この密接性は、権利濫用のしばりにもなれば、その逆にもなりうる。ニカラグア事件のICJ判決によって、さらに、2要件が加えられたわけだが、これは、当時の国際環境のもとで、米ソの集団的自衛権を根拠とする軍事介入を減らす目的があったためである。

管理人の考えは、「密接な関係」を定義する上で、3つの条件を提示する。もちろん、それぞれ、議論は必要ではあるが。

① 従来からの(安全保障)条約、それに準ずる共同文書を有すること。

② 経済的相互依存関係にあること

③ 地理的な近接性があること。

これは、3つ全てを満たす必要はない。ひとつでも満たせば、密接な関係であるとしても良い。そして、マクロでみれば、この3つのうち、より多くを満たす方が、密接性は高い。また、ミクロにみれば、①に関しては、その条約、文書の内容で高低が決まる。②に関しては、これは、難しいが、なぜなら、自衛権の発動要件は、武力攻撃の発生である。国際法では、侵略の定義に関する決議が国連総会決議であり、その中に、武力行使があり、その武力行使の中に武力攻撃があると定義づけされている感じであろうか。もちろん、では何が、武力攻撃かということは、諸説あり、このあたりが先制自衛権の是非にも関わるのだが、今回は、それには触れない。ただ、少なくとも、一般的な国際法解釈では、武力攻撃はいうまでもなく軍事力によるものっである。それゆえ、密接な関係は、①を中心にしている。②だけでは根拠なりえないのではないかとも言えるが、経済的な相互依存度もその依存度のレベルは、ある程度の幅を持って決めなければいけないが、国民の生命・財産に多大な被害を与える可能性が高い。それゆえ、補完的にはなるだろうが、あえて、条件のひとつにしている。③に関して言えば、これも、地理をどう捉えるかということになるが、管理人は、基本的に、概念的なものでなく、東(南)アジアまでと物理的に定めておいた方がよいと考える。そして、この地理的条件が近ければ、それだけ、密接性は高まる。

何故、密接性だけで、これだけ、グダグダと考えないと思われる方もおられると思うが、法律解釈とは、こういうものであるとご理解、頂きたい。

■最後に、国際法認めらており、主権国家に固有の権利にも関わらず、権利は有しているが、行使できないのはおかしいという意見をよく耳にするが、それは、政治レベルの帰結ありきの見解であって、日本は、憲法と国際法との関係において、憲法優位説をとっている。根拠は、憲法96条である。社会契約説に立ち、国民の総意が憲法である以上、憲法は、何よりも尊重され、独立最高法規性を有する。

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