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2007年3月12日 (月)

日中の新時代?

■台頭する中国、日中は、戦略的互恵関係を構築できるだろうか。

中国首相、来日時にTV出演へ・・・日本国民と直接対話

中国の温家宝首相が4月中旬に来日する際、日本国民と直接対話するタウンミーティング形式のテレビ番組に出演する方向で最終調整している。政府筋が10日、明らかにした。温首相が強く希望したもので、日中両政府がテレビ局側に生放送の番組出演を打診している。

 中国の指導者による日本のテレビ番組出演としては、2000年10月に朱鎔基首相(当時)が来日した際、TBS番組で約100人と対話した例がある。

 温首相は、長年着古したコート姿で地方の農村視察を繰り返すなどで、「庶民派」(外務省幹部)として知られる。来日時には、日本国民に直接語りかけることで、対中世論の改善を図る狙いがあるようだ。

 また、温首相は中国首相として初の国会演説を行う方向で調整している。

 日本側も、こうした取り組みを後押ししている。

(2007年3月11日12時16分  読売新聞)

■管理人が中・高生の時によく見た、『朝まで生テレビ』でも、今月、最終金曜日は、日本と中国を結んで、同時中継、議論をするようである。(予定ではあるが)

SAKAKI様は、大変、辛口に書かれておられるが、これまで、日中間で、タブーとされていた、あるいは、議論をする際に、多くのイメージが先行する中、互いの本音をぶつけ合うのには、いい機会だと思っている。

まずは、今回の温家宝首相のイメージ戦略の狙いと、アーミテージ・ナイ・レポート2007の中国に関する部分を抜粋、翻訳、紹介し、最後に、現状、これからの日本の対中国外交を考えたい。

■温家宝首相の訪日、友好的な姿勢は、明らかに、北京オリンピック、万博などの国際的なイヴェントをまじかにし、日中の極めて友好関係が存在することを、諸外国にアピールするイメージ戦略であろう。この東アジア地域においては、特に日中韓の関係に注目が集まる。ことさら、日中関係がどう受けとめられるかは、中国のソフトパワー(魅力的に惹きつける力)に繋がる。又、国際イヴェントの最良の国際環境作りには、日本の様々な協力が必要である。(このようなアメリカの『世界人権報告』に対する抗議もその一環だろうか。参照1

又、国内的には、現在、全人代が行われているのだが、かなりの物権法や金融法など、民法関係の制定がなされている。何よりも、国内経済の発展と社会の安定という目的のためには、対外的な阻害要因を除きたいという思惑もあるだろう。

最後に、現在の権威主義体制が、正統的な支配形態であることを、人民に示すためであろう。そのためには、国際化、近代化、変化過程にある中国において、対外的にも、対内的にも柔軟に対応できる姿勢を示すためでもあろう。(国内外に信頼感を与えると言ってもよい)

およそ、簡単だが、温家宝首相の訪日をはじめ、中国の友好的な対応には、以上の外交目標があるだろう。

■では、次に、アーミテージ・ナイ・レポート2007の中国に関する部分を少し紹介する。(管理人の稚拙な意訳ですが)

①中国では、劇的なトランスフォーメーションが、掴み所なく行われている。中国の台頭は、この地域における、支配的なリージョナル・パワーになる潜在性を有する。

②しかし、中国の成長は、困難さも伴う。(社会のセーフティネットの不安定化、反共産党集団の発展、銀行、金融システムの弱体化、エネルギー、環境問題など)

③中国の主導者は、ナショナリズムを自ら(共産党)の正統性を保つために利用するだろうが、それは、リスクも伴う。つまり、常に、ナショナリストの感情を満足させ続けなければならない。

④中国の外交政策は、主に、セキュリティと資源確保を目的とされる。ただし、軍事費への投資、過度の軍の近代化は、台湾との紛争に対する準備の可能性もある。

⑤2020年には、中国は、自国民、近隣諸国民をより責任をもって扱うために、開かれた経済、マーケットシステムをサポートし、そのために政治的諸自由と、諸制度を発展させ、国際社会における、共通の利害共有者になるだろう。

ちなみにこちらは、中国の軍事費に対する中国側の見解である。(参照

■現在の管理人の最たる関心事は、米中関係と日本の位置取りであるが、中国がどのような動向、形態(参照2)を歩むとしても、日本に対する影響は、大きい。「中国脅威論」にも、軍事的側面、経済的側面、文化的側面があるのだろうが、それらと関連する、保守層にある「反中意識」に支えられた日本の外交戦略は、機能しないし、行き詰るだろう。つまり、その層に向けての消費用にはなるだろうが、日本の国益には繋がらない。何故なら、中国という環境が変化している中で、その変化に対応できず、ナショナリズムを高揚させるだけだからである。

管理人は、安易な「脅威論」も「反中」にも否定的だが、この温家宝首相の訪日、友好的な姿勢が、日中の新時代を構築するものとも思わない。これは、あくまでも、上記に記した目標のためのパフォーマンス的な感は否めない。

ただ、きっかけにすることは出来るかもしれない。経済的な相互依存度が高まる中、単に、経済的な互恵関係に留まるのではなく、エネルギー問題や食糧問題を共通の外交戦略にし、「価値」を共有しなくても、「利害」を共有する双方の積極的な働きかけ、行動が必要なのは、言うまでもないことだろう。ただし、中国の軍拡、早急な近代化に対しては、その目的を想定し、内的シュミレート、法的、制度的枠組みを備えておく必要もある。(当面は、シーレーンの防衛と台湾問題であろうが、パワープロジェクションを高めて、軍事力を背景にした単独主義的な資源外交を行うことも想定できる)

安全保障政策で言えば、MD(ミサイル防衛)の早急化は、必須である。ひとつの政策だからといって、目標がひとつだとは限らない。このMDは、短期的には、北朝鮮のミサイル向けだが、マイケル・グリーン氏が述べる通り、中・長期的には、中国も射程におさめる。又、日米同盟の強化・安定、国内世論への働きかけなどがあろう。(安心感の提供)

外交的には、アメリカをはじめ、特にオーストラリア、インドなどとの連携を強化し、中国を戦略的に利用する方法を考えなければいけない。その上で、大きな要因は、中国がアメリカ主導の国際秩序に従うか否かである。

外交上、アメリカか中国かという選択は、あまりに愚問である。

管理人は、中国とは、よい知人を目指したいが、友人にはなれそうにはない。(過去の中国人留学生との交流、議論より)

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コメント

中国もあまり反日気運を盛り上げたくないんでしょうね。
まあ、タウンミーティングに反中的な思想を持っている人が参加することはないのでしょうが、TBSあたりが放送した結果、逆に参加者がみんな左寄りの人になってしまい、スタジオが日本批判一色になったため、温家宝首相も思わず反日発言をやりすぎて、視聴者は猛反発し、中国にとって却ってまずいことになってしまう、なんて展開をちょっと期待してしまいます。w

投稿: Baatarism | 2007年3月13日 (火) 10時12分

Baatarismさん

いつもコメントありがとうございます。
その展開は、おもしろいですね。TBSの某番組では、日本批判が厳しくなって、逆に、温家宝首相が、日本を庇ってくれるかも知れません。

そっちの展開も期待してるのですがw

投稿: forrestal | 2007年3月13日 (火) 21時36分

どもども・・汗顔の至りです
 マスコミさんの媚中(ゴマスリ)は、もう得策じゃないですよね。意外と中国は日本の世論というか雰囲気の動向を気にしていますから、むしろ、批判され指摘されたほうが、アチラのためでしょうし、ビジネスにもなるのだけれどと考えてます(笑)
 ところでロ○○ャ○○ドさん一家がこのところ日本びいきだって話、オモシロですね。 
 一方・・ロッ○○ェ○ーさんとこは「華麗なる一族」のようで・・昨今の帝国情勢にリンクするのような・・北朝鮮、イランへのアプローチの変貌ぶりには、驚きますよね。
 

 

投稿: SAKAKI | 2007年3月16日 (金) 16時12分

SAKAKI様

コメントありがとうございます。
作用には、大抵、反作用が起こりますからね。特に、マスコミが騒げば騒ぐほど、逆の作用が起こりますね。ところで、温家宝首相が、「歴史を鏡にして、未来が大切だ、云々・・・」の発言をしてますね。

これ、前小泉総理が言ってたような・・・w

まあ、政治の世界では、よくある話です。

ジョージ・W・ブッシュ政権ですが、イラク・アフガンの安定化が、最重要でしょうね。もう、これ以上は、任期中には、無理です。和平で終わると思いますよ。

投稿: forrestal | 2007年3月16日 (金) 21時48分

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