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2007年2月13日 (火)

2007 6カ国協議(1)・続

■難航していた、協議が合意に至ったようである。(前回の続きです)

 6カ国協議:北朝鮮核停止で合意 見返り重油5万トン

【北京・堀山明子】6カ国協議は13日午後、北朝鮮核廃棄に向けた「共同声明(05年9月)の履行への初期段階措置」について合意文書を採択し、6日間の協議を閉幕した。文書には、北朝鮮が取るべき初期段階措置を2段階に分け、(1)寧辺(ニョンビョン)の実験用原子炉など核施設を60日以内に閉鎖すれば、参加国は重油5万トン相当のエネルギーを提供(2)核施設を再稼動できない状態に「無能力化」すれば、重油100万トン相当(5万トンも含む)のエネルギーや人道支援を提供することが確認され、非核化への行動計画が具体化した。日朝関係正常化など五つの作業部会は30日以内に開催することでも一致し、拉致問題を含む日朝正常化交渉が6カ国協議の枠組みで制度化されることになる。

 次回6カ国協議は3月19日に開かれる。

 合意文書によると、60日以内に北朝鮮がやるべき措置は(1)実験用原子炉やプルトニウム再処理施設などを含む核施設を閉鎖・封印し(2)国際原子力機関(IAEA)の査察官を復帰させ(3)すべての核計画の目録を示し、参加国と協議を行う。

 北朝鮮への見返りは、重油5万トン相当の支援のほか、米国は(1)テロ支援国家指定の解除(2)北朝鮮との貿易を規制した敵国通商法を終了--へ向けた作業を開始することにした。

 エネルギー支援の費用分担については、別途文書で「平等原則」が確認されたが、日本については「(拉致問題の)懸案解決後、参加を期待する」と述べるにとどまった。佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長は13日、「完全な非核化に向けた大きな一歩を歩み出した」と合意文書を評価する一方、エネルギー支援については「当面参加できない」と語った。

 また、閉鎖の次の措置として北朝鮮は、使用後の核燃料棒から抽出したプルトニウムを含むすべての核計画を申告し、原子炉やプルトニウム再処理施設を無能力化させるとした。

 作業部会は(1)朝鮮半島非核化(2)米朝関係正常化(3)日朝関係正常化(4)経済・エネルギー協力(5)北東アジア平和安保体制の五つ。非核化部会は中国、エネルギー協力部会は韓国、平和安保体制部会はロシアが議長を務める。

 初期段階措置は、昨年10月の北朝鮮核実験を踏まえ、核兵器増産につながる核施設の稼動中止を最優先課題として交渉した。しかし、現存する核兵器の廃棄については言及がなかった。 以下略・・・(毎日新聞)

■前回のエントリーの続きである。前回は、途中経過であった。今回は、北朝鮮の核廃棄プロセスに対する合意を受けて、国内外でも、この合意に関して、又、日本政府の対応に対して賛否両論あるだろうが、管理人の見解を簡単にコメントしておく。

■まず、合意に関しては、主に、中国がリーダーシップを取る形で、米朝の大きな妥協と言わざるえない。中国に関しては、議長国として、仲介外交を、一定の形(共同声明文)で、成功させたのだろう。しかし、これは、まさに、初期段階である。ただ、東アジア・アメリカ、国際社会に対して、主要なプレイヤーであり、その責務を果たせるという、効果(印象を与えるだろう)をもつだろう。中国は、充分に、そのプレゼンスを高めたと言ってもよい。

■次にアメリカだが、1994年の米朝枠組み合意と同じ結果を招くだろう、又、強硬派からは、アメリカは、粘って、交渉者を疲れさせれば、大きな譲歩をするというシグナルを送ったという見解もある。

それに対して、外交努力によって、大きな前進を経たという肯定論も、もちろん存在する。

アメリカの肯定論・否定論、さらに強硬路線の転換の規定要因については、前回のエントリを参照してもらいたい。

■北朝鮮だが、見返り数値などで、かなり、大きくでたところがあるは、結局は、妥協という形で、合意した。しかし、ほぼ、北朝鮮の思惑通りであろう。以前のエントリでもコメントしたことがあるが、北朝鮮の外交手法は、小出し・小出しで、粘って、あたかも、大きな行為をしたかのように見せる手法である。丁度、同じカーブを曲がるにしても、大回りすれば、それだけ大きなカーブを曲がったように見えるのと同じである。

■日本だが、6カ国協議では、「拉致問題」に固執しすぎて、存在感を発揮できなかった。作業部会の設置で、個別案件として、「拉致問題」を協議できることは、とても大きい。中国の配慮(中国の国益を考えた政策)ではあるが。

核廃棄に向けては、関係諸国と足並みを揃え、「拉致問題」は、個別案件で行う。

「核問題」と「拉致問題」をあまりに結びつけるのは、得策とは思えない。むしろ、関係各国から、不満を買う可能性が高い。そうすれば、結局、日本単独の経済制裁や日本の対北朝鮮外交において、より効果を発揮できない。(つまり、中国とアメリカの協力が必要なのである。)

「拉致問題」があるからという理由で、核廃棄へのプロセスに対して、関係各国と足並みを揃えないのは、孤立化を招きかねない。結局、そのような威勢のよい姿勢は、国内消費用で、「拉致問題」の解決にもマイナスになる可能性がある。

■最後に全体を通してだが、外交努力によって、朝鮮半島での混乱を防ぐ、核廃棄へ向けてのステップを構築できたことは、評価したい。最もその外交目標を達成したのは、中国であろうが、概ね、関係各国の利害の一致が取れたとみている。しかし、言うまでもなく、これは、スタートに過ぎない。今後、継続して、関係各国、国際社会の外交努力が必要である。

重要な点は、

① 北朝鮮の措置履行の検証可能性の問題

② 北朝鮮が措置不履行の場合の対応措置

最終目標まで、徹底的に抜け穴を封じ、履行しない場合の対処について、想定をして、政策形成に、(特に日米は、協力して)入らないといけない。

北朝鮮をめぐる問題は、ほぼ、全てにおいて、北朝鮮が先手であった。今度は、こちら側が、先手を打てるよう、戦略策定・政策形成しておかなければいけない。

安保理決議とは、なんであったのだろうか・・・。

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コメント

この件は私もエントリしようとは思いましたが特に意味も感じられませんでした。つまりは全てを先送りするということでしょう。韓国の次期大統領選待ちというところでしょうか。
そして、これは全くの無為に終わるかもしれませんが、この地域で強硬策を取るためには、そのくらい明白な失敗が必要なのでしょう。むしろ中途半端な成功が日本としては一番悩ましいのですが、自国は金を出さない以上の事を何かやるためには、広範な国民的合意が必要でしょう。そしてそれはまだ存在しないように思います。

投稿: カワセミ | 2007年2月14日 (水) 00時52分

はじめまして。宜しく。
 
 他のブログでも少し触れたんですが、6カ国協議の根本は、勿論核拡散防止ですね。そして、核の持つもっとも重要な基本的性格は、「国際社会のあらゆ変化を先送りする効果」ですね。
 そう考えると、今回の先送りも、そうであるが故に当然の帰結ともいえますし、そこに一定の成果をみることも可能でしょう。国際社会というジャングルでは、何も変わらないことが、より悪い変化よりましだこともありうるでしょう。少なくとも日本はそう腹をくくったほうが良いと思います。
 今回の帰結を、北朝鮮の思うつぼというような論評が出ておりますが、それは彼らを買いかぶりすぎているとも思いますし、そういう思考は日本の自由度を狭くするのではないでしょうか。

投稿: M.N.生 | 2007年2月14日 (水) 11時27分

北朝鮮が存続可能である限り、どの国も北朝鮮の崩壊は望みませんから、こういう先送り策が取られることになるんでしょうね。
そして北朝鮮が存続不可能になる条件は、中国が北朝鮮を支えられなくなることでしょうから、結局中国国内が混乱に陥らない限り、今のような状況が続くのでしょう。
もっとも中国国内が混乱に陥ると、東アジアは今よりも遙かに悪い事態になってしまうので、現状が日本に出来る精一杯なのかもしれません。
ただ、中国がいつまでも高度成長を続けられるはずはないので、中国の高度成長が終わり中国国内が不安定になったとき、国際的な混乱が起きてしまうかどうかが、次のターニングポイントかもしれません。

投稿: Baatarism | 2007年2月14日 (水) 12時29分

>カワセミ様

コメントありがとうございます。
意味のないものエントリしてしまいました・・・(笑)

仰る通り、問題の先送り、ほぼ、現状維持だと考えています。
ただ、朝鮮半島に対する、アメリカ、中国の影響力が大きいとはいえ、この問題は、韓国が、もっとも重要視し、取り組まなければいけない問題のはずなんですが。主体的にイニシアチヴをとり、積極的に関係各国に働きかける、そのような外交努力して当たり前です。

韓国の現大統領・政権にそれを求めるのは、酷ですね。。。


> M.N.生様

はじめまして、コメントありがとうございます。今後もよろしくお願いします。

私も、現状、先送りでも、今回の合意(宥和)は、一定の成果だとみています。クリントン政権時の宥和も、それ自体は、評価できると考えます。ただ、私が、クリントン政権時の宥和を失敗だと考えるのは、その後の対北朝鮮に対する、戦略性のなさ、政策のなさなんです。つまり、あらゆる想定のもと、中・長期的なスパンでの戦略のなさです。それは、今回のことでも、懸念してます。

仰る通り、悪い変化よりは、現状維持・先送りの方が、好ましいでしょう。ただ、現状維持にも、リスクとコストがかかっています。
現状を改革するより、現状を維持する方が大変なんですね。
日本は、その大変さをしっかり認識した上で、良い変化に持っていくための戦略・政策形成をしなければいけません。これは、関係各国、国際社会も同じことです。
独裁国家、情報もほとんどなく不透明、不確実性の極めて高い相手と、どう付き合っていくのか、どう、開放性のインセンティヴを与えるのか、このような戦略がなければ、又、同じことを繰り返す可能性は、極めて高いと考えます。

’北朝鮮の思うツボ’で、思考停止し、より、強硬的・感情的になることは、外交における柔軟性を損ないますね。冷静かつ客観的な分析・判断を鈍らせます。

北朝鮮とて、かなりリスキーな綱渡りをしているのです。結果、今回のようになったというだけですね。

又、気軽にコメント頂ければ幸いです。


> Baatarism様

コメントありがとうございます。

中国ファクターは、言うまでもなく大きいですね。
独裁者が何を考えているのかわかりませんが、自国経済を本気で立て直す気があるのかどうか。

いずれにせよ、中国経済の失速、政情不安定になると、北朝鮮問題に現在のように、取り組む余裕はなくなりますから、その場合における最悪の想定も立てて、段階的に準備に入らなければいけませんね。

私の考えは、その場合は、日米で、対処せよですから、すでにエントリしましたが、在日米軍再編の早急化、日米同盟の双務性の向上、集団的自衛権の行使と法的・制度的枠組みを整えなければいけないと考えます。

現状、これが、日本の安全保障にとって、最も、合理的かつ有効な方法だと思います。

そのためには、日本は、アメリカにとって、魅力的な国家でなければなりません。

いずれにせよ、とりわけ東アジアの安定・不安定は、中国の要因が大きいですね。そのターニング・ポイントは、以前にもコメントした通り、2010年代だと、予想しております。(当たらないことを祈りますが・・・)

投稿: forrestal | 2007年2月14日 (水) 20時50分

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