« コメント・TBについて | トップページ | 2007 6カ国協議(1) »

2007年2月 7日 (水)

アメリカ:「アフリカ軍」の新設

■国務省内の再編に次いで、国防総省(ペンタゴン)でも、再編である。

ブッシュ大統領:アフリカ軍の設置発表 6番目の統合軍

 【ワシントン及川正也】ブッシュ米大統領は6日、新たな地域統合軍としてエジプトを除くアフリカ大陸を管轄する「アフリカ軍」を設置すると発表した。6番目の地域統合軍で08年9月までに運用を開始する。国際テロ組織アルカイダが拠点化を狙ったソマリアや、ダルフール紛争など不安定なアフリカ情勢に対応する狙いがある。

 大統領は声明で「アフリカとの安全保障協力を強化するものだ」と指摘、アフリカを重視するブッシュ政権の姿勢を強調した。国防総省によると、任務は主に人道支援、災害救援、危機対応などで、司令部もアフリカに置く方針。

 米軍は現在、全世界を地域ごとに5ブロックに分割し、▽北方軍(北米)▽南方軍(中南米)▽太平洋軍(アジア、太平洋、インド洋、アフリカの一部)▽欧州軍(欧州、ロシア、アフリカの大半)▽中東軍(中東、中央アジア、アフリカの一部)--の5地域統合軍を持つ。統合軍の再編は、同時多発テロを受けて北方軍が新設された02年以来の大規模再編となる。

 アフリカ軍は、これまで中東軍、欧州軍、太平洋軍が担当していたアフリカ地域を一手に引き受けるが、エジプトは中東軍が引き続きカバーし、周辺の島も担当外となる。海外に司令部を置く統合軍は欧州軍(ドイツ)に次いで2番目。

毎日新聞 2007年2月7日 11時23分 (最終更新時間 2月7日 12時19分)

■米軍再編のひとつであろうが、国防長官のゲーツ氏が、米軍の規模を拡大(アメリカ、陸軍、海兵隊の増員)発表したのには、イラク増派だけでなく、アフリカ地域における、軍事コミットメントもあったのだろう。

2002年、アメリカ同時多発テロを受けて、新設された、北方軍に次ぐ、新設である。(尚、エジプトは、中東軍が管轄する)

ジョージ・W・ブッッシュ大統領は、2月6日に以下のような声明を発表した。(大統領の声明

Today, I am pleased to announce my decision to create a Department of Defense Unified Combatant Command for Africa. I have directed the Secretary of Defense to stand up U.S. Africa Command by the end of fiscal year 2008.

This new command will strengthen our security cooperation with Africa and create new opportunities to bolster the capabilities of our partners in Africa. Africa Command will enhance our efforts to bring peace and security to the people of Africa and promote our common goals of development, health, education, democracy, and economic growth in Africa.

We will be consulting with African leaders to seek their thoughts on how Africa Command can respond to security challenges and opportunities in Africa. We will also work closely with our African partners to determine an appropriate location for the new command in Africa.

この声明を受けて国防長官ゲーツ氏は以下のようにコメントしている。(ペンタゴンの声明

“The president has decided to stand-up a new unified, combatant command, Africa Command, to oversee security cooperation, building partnership capability, defense support to non-military missions, and, if directed, military operations on the African continent,” Gates said in testimony before the Senate Armed Services Committee.

The command will enable the U.S. military to have a more effective and integrated approach than the current command setup, Gates said.

又、スノー報道官は、以下のように述べている。(トニー・スノー報道官のコメント

This new command will strengthen our security cooperation with Africa and create new opportunities to bolster the capabilities of our partners in Africa. Africa Command will enhance our efforts to bring peace and security to the people of Africa and to promote our common goals of development, health, education, democracy and economic growth in Africa.

We will be consulting with African leaders to seek their thoughts on how Africa Command can respond to security challenges and opportunities in Africa. We will also work closely with our African partners to determine an appropriate location for the new command in Africa.

■ワシントン報告なので、どれも似たりよったりの内容だが、要点だけ抜くと、AU諸国と連携することで、アフリカでの安全保障協力関係を強化し、又、アフリカにおける、パートナー諸国を新たに作る機会にもなる。又、アフリカのおける平和構築は、アフリカの人々の安全と共通の目標である、開発、健康、教育、民主化、経済成長を促進するとのことである。

又、エジプトが管轄から外されたのは、エジプトの中東(和平)における影響力を配慮してのことであろう。

しかしながら、ソマリア、エチオピア、スーダン、ダルフールなど、内戦、民族紛争の終結は、容易なことではない。過去、国連も、アメリカ自身も失敗している。

尚、一部だが、秀逸なエントリがあるので、参照してもらいたい。

カワセミの世界情勢ブログ:サハラ以南アフリカ

アメリカの世界戦略がグローバルに展開しはじめたと言えば、それまでだが、アメリカのペンタゴンでも勤務経験のある、地政戦略家トマス・バーネットの分析では、コア部分から外れる地域であった。(つまり、あまり重要性のないという認識)しかしながら、この地域におけるEU・ヨーロッパ諸国の影響力、又、この6日、7日とアフリカ8カ国を歴訪した、中国の胡錦濤国家主席は、いわゆる従来の「資源外交」を超え、いくつかの経済協定を結んでいる。(最たる目的は、エネルギー確保と経済投資であろうが)これに対するカウンターメッセージであろう。ジョージ・.W・ブッシュ大統領は、今年の一般教書演説でも、エネルギー・セキュリティを提唱している。又、このペンタゴン再編の政策決定は、すでになされていたのだろうが、あまりにも、タイミングのよい、声明発表である。

アフリカ諸国には、対中国に対する、期待論(活用論)と警戒論がある。アメリカがどこまで、対テロ戦争との位置づけになるのかもしれないが、本格的に、アフリカの諸問題に取り組むかで、この地域とのまさに関係強化は、強まるだろう。以前から、水面下では、すでに行われていた、米中の資源をめぐるゲームは、表面化しつつある。

中国は、アメリカ主導の国際秩序にどれだけ、乗るかで、日本の方向性は、大きく変わるだろう。

|

« コメント・TBについて | トップページ | 2007 6カ国協議(1) »

「安全保障」カテゴリの記事

コメント

トラックバック有難うございます。リンクも恐縮です。もう少し良い記事をまとめて書いておけばお役にも立てたのでしょうが。

私も今回のニュースはかなり大きなものと思いました。少しずつ傾向が見えてきてはいましたが。破綻国家が危険の源泉であるという認識、また概してアフリカ地域では米国は不人気ではなく、関係を深化させることが出来ると考えたのかもしれません。

誤解を恐れずに言えば、アフリカの経済発展が遅れたのは、米国との関係が世界で最も薄かった地域であるということも理由でしょう。また米国は批判の対象にはなるでしょうが、かの地域の人にとっては、長い目で見れば朗報のようにも思います。

投稿: カワセミ | 2007年2月 8日 (木) 02時07分

カワセミ様

コメントありがとうございます。
本来なら、英語に訳をつけるのですが、背中を痛めてまして、手抜きをしてしまいました。
おっしゃる通り、歴史的経緯をみても、アフリカ諸国のアメリカへの反米感情は、薄いですね。といっても、フランスなど、ヨーロッパ諸国は、今でも、その植民地化時代の遺産を利用してますが。それでも、アメリカの方が、この地域のさらなる安定、秩序形成、維持には、貢献できる要素が大きいですね。
現状は、中東(イラク)問題で、行き詰っていますから、短期的に軍事的オプションをアメリカは、とらないでしょうが、将来的には、民族紛争などに取り組み、アフリカにも、戦略的拠点を構築していく目的でしょうね。

現状に対処する、テロの温床化を防ぐ、ダブルトラックでの取り組みになるでしょうね。

最後の大陸、アフリカを巡る、大国間のパワーゲームが、本格的にはじまるのでしょうか。

アメリカは、リージョナル化する国際関係において、いかに影響力を与え、保ち続けるかが、大きな課題ですね。

アフリカ情勢に詳しくないので、カワセミ様のエントリで、調べる手間が省けました(笑)


話は、変わりますが、フルトヴェングラーのベートーヴェン「第5番」1947年の27日演奏のCDが入手できました。
ただただ、圧倒されるだけでした。

投稿: forrestal | 2007年2月 9日 (金) 00時56分

大したエントリは書いていないのですが、とにかく日本人はアフリカに目が向かないので多少の意味はあるかと思っていました。チャドやエチオピア周辺などはこっちもニュースを知りたいくらいなのに皆無ですね。

米国のアフリカ政策、あの国は国民の各出身母体との繋がりがその国に対する外交を決めていると言われることもあります。そしてアフリカ系の多くは母国の文化をほとんど持ち込まない、純粋なアメリカ人であろうとする傾向が強いとも聞きます。それが日本がそうであるのと同様な無関心さに自然と繋がったのではないかと思います。しかし近年は留学生などの持続的受け入れなどでも絆が形成されてきました。戦略的要請と相まって関与する余地が発生したのでしょうね。日本も大使館を増やすくらいのことはやるようですが。

ティタニア・パラストの運命ですが、あれは特異な条件が重なったものと思います。かつてある著名な音楽評論家がベートーヴェンの第九の演奏の第一に例のバイロイトの第九を推薦し、「これは様々な条件が重なった結果のある種のイベントであり、演奏というよりは一つの事象である。フルトヴェングラー自身これに及ぶ演奏は二度と出来なかったことを考えても、そもそも他の演奏と比較すること自体が意味がないかもしれない」というような事を述べていました。そしてこの演奏もその言が当てはまる数少ないものと思います。一つ一つの音に凄まじい存在感があるこの演奏、二度とは再現出来ないものでしょう。こういう演奏があるからフルトヴェングラーは特別なのですね。

投稿: カワセミ | 2007年2月14日 (水) 00時48分

カワセミ様

コメント恐縮です。
日本人の諸外国に対する無関心さというか、イメージのみというのは(もちろん、一般化はできませんが)、圧倒的な情報不足もさることながら、歴史的な伝統や、単一民族神話の遺産でしょうか。アフリカ諸国に関しては、UNDPの年次報告で、統計的なものを見るだけで、政情・社会などは、殆どわかりませんね。
アメリカがコミットすることで、注目が集まればと期待してるのですが。

こちらは、すでに目を通されたかと思いますが、CFRの「アフリカ軍」新設に対するコメントですね。

http://www.cfr.org/publication/12583/new_african_command.html?breadcrumb=%2F

まあ、内容はあまり深くありませんが、テロの温床化を防ぐ、対テロ戦争の一環であるというような内容です。

話は、変わりますが、フルトヴェングラーのあの演奏には、そのような評論があったのですね。まさに特別ですね。

投稿: forrestal | 2007年2月14日 (水) 19時48分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/179808/5253922

この記事へのトラックバック一覧です: アメリカ:「アフリカ軍」の新設:

» 勝率8割以上!とても簡単で、実際に勝てるトレードとは [★☆FXでうまくいかない人はとにかくこれを見て下さい!☆★]
世の中には、本物もあるんです。購入した人はびっくりすると思います。 [続きを読む]

受信: 2007年2月 8日 (木) 19時22分

« コメント・TBについて | トップページ | 2007 6カ国協議(1) »