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2007年2月11日 (日)

2007 6カ国協議(1)

■今月8日から、北京にて、今年、初の6カ国協議が行われている。

中国は、個別作業部会の設置など、北朝鮮の核廃棄に向けた、共同声明文を出したいだろう。

主なポイントは、米朝のディール(取引き)になっているが、なかなか難航している。

現在も協議は、進行中のため(今協議が終われば、又、エントリする予定だが)、協議前のCFRの分析を少し紹介しておく。

■まずは、CFR(アメリカ外交評議会)の分析を抜粋、紹介する。

CFR:6カ国協議への希望

昨年、再開された6カ国協議だが、何の進展もないまま終わり、アメリカ、民主党は、大きく失望している。

その意向を受けてか、ジョージ・W・ブッシュ大統領も、任期中に一定の(結果)評価をだして、名誉を得たいという考えだろうか、2国間の協議に応じ、北朝鮮の核兵器の全面廃棄へ向けての大きな進歩へ、政策転換(路線変更)しつつある。

そもそも、ワシントンにおいて、北朝鮮の核問題は、プライオリティが低い。

ワシントンポストや、ニューヨーク・タイムズでも、1面を飾ることはない。

現状、ワシントンでは、イラク政策、それに付随して、予算の問題(経済政策や税政策)、又、これらの政策に対する 次期大統領候補、ジュリアーニ前ニューヨーク市長(共和党)や、ヒラリー上院議員(民主党)、オバマ上院議員(民主党)のコメントが話題である。

■では、上記リンクの中から、少し抜粋して紹介する。

CFR Director of Studies Gary Samore says Hill was recently “given more negotiating flexibility than he previously enjoyed.” The Bush administration eased up on its hard-line stance of refusing to hold the bilateral talks Pyongyang has long demanded when Hill met with his North Korean counterpart last month in Berlin. Samore says in the February round of Six-Party Talks, Hill will be able to negotiate for “an interim step rather than going directly to full disarmament.”

(CFRのメンバー、グレイ・サモアによれば、ヒル次官補は、より柔軟に交渉を行っている。ヒル次官補は、交渉によって、直接的な核の完全廃棄よりも、むしろ、段階的な仮協定(合意)に向けてのステップを作りだせるだろう。)

という肯定的な見解に対して

The Heritage Foundation’s Bruce Klingner says the United States should ask for nothing less than full dismantlement, saying, “Talking is not success, and North Korea should not be rewarded for its intransigence or its noncompliance with U.N. resolutions.” Each meeting round in Beijing “provides perfect international diplomatic cover for an unobstructed North Korean nuclear arms buildup,”

(ヘリテージ財団のブルース・キリングナーは、アメリカは、核の完全廃棄以外に求めるものはない。協議は、失敗するだろう。6カ国協議のそれぞれの参加国は、北朝鮮の核兵器建設を推進するための、完全に国際的な外交的行為を提供してしまっている。)

というかなり辛辣で、否定的な見解も存在する。()内は、管理人の意訳・妙訳です。

以上、肯定論・否定論を紹介したが、ヒル次官補は、東アジア、朝鮮半島の専門家ではない。

■この二つの見解を踏まえて、管理人が簡単に分析すると、

上記との重複になるが、3つの分析レベルでみるに、国際環境レベルでは、アメリカは、イラク政策で、手詰まりである。国内レベルでは、経済問題など、個人・政権レベルでは、ネオコンの求心力がほとんどない今、リアリストが台頭し、アメリカにとって、直接的な脅威(国益)にならないと考え、又、ジョージ・W・ブッシュ大統領も、一定の成果で良いという考えに変更しつつあるのだろう。(極論すれば、核兵器・その生成物質・技術の流出が防げればよい)

取りあえず、協議が終わるのを見守りたい。 

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コメント

forrestalさん、再び、失礼します。

結局のところ、キリングナーの言う「北朝鮮の核兵器建設を推進するための、完全に国際的な外交的行為を提供」してしまうのか、どうかが要であると思いました。
しかし、五カ国を見れば、それ程緊急の問題ではないが、選挙対策上、なにがしらの成果が欲しい米国、波風を立てたくない中韓、暴発、崩壊さえしなければいい露、そして自己主張が出来ない日本ですから、結局、北朝鮮を利する結果になってしまうのでしょう。
さらに問題なのは、核兵器の量的拡大には抑制がかかる、何がしかの可能性はあるもの、質的変化(核のミサイル弾頭化)に抑制はかからないだろうし、経済援助により、一層の促進されてしまうのではないかという懸念が生まれています。

中露の軍拡、韓国も独自の巡航ミサイルの開発と軍事的勢力図が変化してきている状況で、日本が手を拱いていれば、日本は押し込まれていくだけだと思えます。
また、アメリカの次期民主党政権により中国との連携がますます強まる事が予想される以上、日本が軍事的自主化を強く押し出していかない限り、日本はアメリカからもパッシングされてしまいます。
その結果、日本はアメリカの世界戦略には付き添いながらも、肝心な日本周辺の勢力圏では中国の影響力が拡大してしまう危険性があります。

六カ国協議に戻れば、死に体のブッシュ政権には余り失礼のないようにしながら、適当にあしらい、日本も通常兵器の拡充(空母、さらには将来的な原潜の開発をも含む)に努めるべきであると思います。
要は北がノドンに核弾頭を装備する前に、圧倒的な先制攻撃能力を持つ事が大切です。

投稿: まぐ | 2007年2月11日 (日) 10時22分

 たとえばF22を空自次期主力戦闘機として導入し、対地爆撃能力を保持できるようにすれば、それだけで抑止能力は段違いに向上します。ただxし、カネが矢鱈に掛りすぎるのです。

投稿: 雪斎 | 2007年2月11日 (日) 23時13分

>まぐ様

再度のコメントありがとうございます。

私も外交・安全保障を中心にやっていますので、内政(経済的な部分は)、疎いので、あまり大口は言えませんが。

協議がまだ、進行中なので、現時点での推測になりますが、米朝、その他の参加国との合意(妥協)によって、IAEAの国連査察団・監視団の入国、管理が盛り込まれるでしょう。
もちろん、これが、どこまで、検証可能性を持ち、北朝鮮が応じるのかは、不透明ですが。

北東アジアを巡るパワーバランスは、変化の過程にあると思います。実際は、ABC(all but クリントン)を公約にした、ジョージ・W・ブッシュ政権のこれまでの任期は、中国の動向をみつつ、戦略的共存関係にあったんですね。

アメリカは、随分、日本に配慮しています。
日本が軍事的自主化をするには、莫大なコストもかかりますし、それをする・しないで、アメリカが日本をパッシングするかは、アメリカが好むか、好まざるかです。もう少し、厳しく言えば、アメリカの世界戦略上、メリットが大きいか利用できるか次第です。

私の考えでは、ミクロ・マネージメントさえ、間違えなければ、アメリカは、日本をパッシングすることはないでしょう。
①在日米軍再編に伴う、アメリカの戦略
②日本の経済的支援
この2つは、アメリカにとって、必要不可欠な要素です。

その上で、上記①②を上手く使いながら、アメリカに対して、日本は、戦略的にディールを行う。まずは、地位協定の改定などになるでしょうね。

中国に関しては、まだ、内政面で、不確実性が高いですね。
現状は、早急に軍備を整えないといけないとう状況ではないと考えます。米軍の原潜や、F22などの軍事力を有効に合理的に使うべきでしょう。

前回もコメントしたのですが、国民の多くは内政に目がいくものです。軍備増強の必要性を国民に説得し、法的問題をクリアしていく政治指導、その軍備をいかに使うのかという、軍事的・外交的位置づけ(戦略)、他国に対して殊更、脅威を煽らない、日本のソフトパワー(魅力的に相手を惹きつける力)を減じない、文化広報戦略が伴わないと軍備は、増強したけれども、多角的な外交が出来ないとなると、それこそ、自縛自縄に陥ってしまいます。

これらを行いながら、日米同盟を基軸に段階的に自主防衛に取り組み、米軍と協力したオペレーションを取ることが、大事だと考えています。

尚、付け加えるなら、日本が憲法を改正して、集団的自衛権の行使を認めて、日米同盟を双務的なものとしても、現状、アメリカのイコール・パートナーには、なりません。

アメリカというのは、いかなる外交においても、軍事力を背景(後ろ盾)に出来ます。

日本が、軍事力を増強したとしても、外交政策ごとの選択になるでしょう。

日米間では、’軍事力を背景にして’といっても、大きな相違があります。


>雪斎さん

コメントありがとうございます。
私も、空母や、F22を持つべきだなどど言ったことがありますが、そんな金ないよ・・・って言われて終わりですね。
特に、国民の関心事は、内政に向かいますから、外交・安全保障に関する関心は、低くなりますね。
また、関心といっても、感情論が殆どですし。。。
米軍との連携・強化によって、段階的に個別事案をクリアして、日本の自主防衛ラインも、それに伴って進める。
合理的かつ、戦略的な構想が必要だと考えます。

話は、変わりますが、フルトヴェングラーのベートーヴェン「第5」購入、早速、聴きました。唖然の一言です。

投稿: forrestal | 2007年2月12日 (月) 21時44分

雪斎さん、forrestalさん、レスポンス本当にありがとうございました。

私は経済政策的にはリフレ派を支持していますので、日銀のゼロインフレ政策や財務省の緊縮財政路線に批判的です。欧州のようにバブル崩壊後の後処理を金融緩和し、さらにはインフレターゲット政策をとっていれば、崩壊後の十数年の成長率を2%以上保つ事は充分可能で、日本のGDPは700兆円に達していたでしょう。1%の防衛費として7兆円、あとは防衛施設庁を解体して無駄遣いをなくせば、通常兵器の増強は容易でした。(私は日本の最大の安全保障は経済成長だと思っています。)
F-22が一機180億円として50機購入すれば、中露が介入しても北の制空権は充分握れます。この潜在能力が外交力を支えます。
この能力が中国をして、北の核武装化は中国の国益を損なうと認識させます。またアメリカも日本をおろそかににすると、自主路線へ向かい、潜在的敵国性を増すと認識させます。これにより初めて日本を一つのパートナーと認識し始めるのだと思っています。
また、モンゴルの脱北者収容センターを核にした、モンゴルへの援助をロシアと連携すると面白い展開になると思います。
以上はかなりすっ飛びすぎた考えであるとは充分、理解しています。

投稿: まぐ | 2007年2月14日 (水) 00時21分

まぐ様

コメントありがとうございます。
俗に言う、「失われた10年」ですね。
アメリカなどでは、すでに、「台頭する中国」ということで、かなり研究されてましたし、戦略も練られてましたね。

日本の場合は、不良債権の処理など、財政・金融の建て直しが、最優先で、さしたる長期的な軍事・外交戦略がなかったと言えば言いすぎですが、想定・内的シュミレート、それに対する備えがなかったのは、事実でしょう。

保有潜在能力ということで言えば、日本は、F22も空母も核兵器もあるんですね。理論的には、抑止効果になります。

中国は、今や、国際社会の主要なアクターですから、冷戦期ならともかく、北朝鮮の核兵器は、中国の国益を損ねます。つまり、北朝鮮のような国際的に「ならず者国家」と認知されている国家の核保有ですから、今回のように、多大な労力を注がねばなりません。現状の中国は、何よりも、経済と内政(共産党支配)の安定ですから。

アメリカに関して言えば、潜在的的国性を増さなくても、日本は、重要なパートナーという位置づけです。
むしろ、現在のパワーの差をみれば、むやみに、アメリカに潜在的敵国性を認識させることは、日本の国益に反します。時期尚早ですね。

私が言った、イコール・パートナーにならないという意味は、現状の国際政治の構造上、アメリカの1極構造であり(軍事・経済・文化の位相に全てにおいて、圧倒的にパワーが集中している)、どの国家も、あの特別な関係のイギリスでさえ、対等の立場ではないということです。

モンゴル政府が承認するかは、微妙ですが、又、さしたるリターンもあまり期待できないのですが、朝鮮半島で、混乱などが生じた場合の、避難民などの受け入れに関しては、中国は、多分に人権問題などで、国連を国内に入れたくないですから、中国とディールできますね。これは、ロシアの顔も立ててやって、中国に外交カードを持つアイディアだと考えます。

コメントありがとうございました。

投稿: forrestal | 2007年2月14日 (水) 19時34分

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