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2007年2月26日 (月)

米韓同盟の行方

■韓国は、より自主防衛ラインを強化するしかないのか。。。

 戦時作戦統制権、2012年の韓国移譲で合意・・・米韓

【ワシントン=五十嵐文】ゲーツ米国防長官と韓国の金章洙(キム・ジャンス)国防相が23日、ワシントン近郊の国防総省で会談し、在韓米軍司令官が持つ韓国軍に対する戦時の作戦統制権を、2012年4月17日から韓国側に移譲することで合意した。

 戦時作戦統制権の返還は、「国防の自主化」を掲げる盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権が要求してきた。米側も、在韓米軍の負担が軽減され、より戦略的な展開が可能になるとして返還に同意する一方、韓国が主張していた2012年より3年早い2009年の返還を逆提案し、交渉が続いていた。

 韓国では保守派を中心に、早期の返還は米韓同盟の弱体化の印象を与え、北朝鮮政策にも悪影響を及ぼしかねないとして早期返還に反対論が強く、最終的に米側が韓国の主張に歩み寄った。

 米側は、在韓米軍駐留経費の韓国側負担率を現在の38%から引き上げるよう求めており、今回の“譲歩”と引き換えに駐留経費増額の圧力が強まるとの見方も出ている。

 戦時作戦統制権の返還に伴い、米韓連合司令部は解体される。以下、略・・・

(読売新聞)

■当初、2009年度の予定であった、戦時作戦統制権が、2012年度に返還(移譲)される。

ご存知の通り、『戦時作戦統制権とは、韓国側が、朝鮮戦争(1950~53年)の際、作戦統制権を国連軍司令官だった米軍司令官に移譲。78年には米韓相互防衛条約に基づく米韓連合軍で司令官を務める在韓米軍司令官が権限を引き継ぎ、94年には平時の作戦統制権が韓国軍に移譲されたが、朝鮮半島有事などを想定した戦時の作戦統制権は引き続き連合軍司令官が保持している。』

兼ねてから、交渉が続いてきたが、妥協点が出たのだろう。

■冷戦期においても、アメリカでは、ニクソン政権時、カーター政権時に、在韓米軍撤退政策がすでにでていたが、(北)東アジアをめぐる国際環境上、実施には至らなかった。

今回の撤退政策もアメリカ側の一方的な要求であると思われる方も多いが、これは、、「国防の自主化」を掲げる盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権が要求してきたものである。それゆえ、両者の利害が一致したと言わなければいけない。

■アーミテージ・ナイ・レポート2007の朝鮮半島、韓国との関係に関する部分を、管理人の稚拙な訳だが紹介する。

①2020年までに、朝鮮半島が統一する可能性が極めて高い。

②北朝鮮の核問題は、最終的には、朝鮮半島再統一でしか解決しない公算が高い。

③金正日(体制)は、現体制の維持の継続を好むだろう。

と現実的かつ、朝鮮半島での劇的な環境変化も示唆している。

朝鮮半島における環境の(劇的)変化は、東アジアにおける戦略的なバランスを再形成することになるだろう。

④現在の韓国政府は、北朝鮮の核開発問題よりも、朝鮮半島の不安定化をより脅威とみている。(その要因として、386世代や、韓国のデモクラシーの成熟化などが挙げらている)

⑤アメリカ、日本、韓国と短期的に北朝鮮問題への取り組みへの差異が存在すること認識することは、重要であるが、3カ国は、共通の価値と経済・安全保障の利害の共有によって、結束している。

⑥将来的に、米韓同盟では、韓国が、(朝鮮半島問題において)、主導的な役割をし、アメリカは、そのサポートにあたる。

⑦在韓米軍の再編等が行われるが、新たな軍事技術の導入によって、能力自体は、実際のところ、拡大するだろう。

以上、興味深い部分だけだが、抜粋してみた。

■この⑥、⑦に該当する部分を国防総省のスミス副報道官が、さらに詳細にコメントしている。

「現在、韓国に駐留している米軍は約2万8000人で、来年までに2万5000人ラインに削減する予定だ。予測可能な未来(for the foreseeable future)においては、同水準で維持されるだろう」

「統制権が韓国軍に返還(移譲)された後も、在韓米軍は継続して米軍司令官の指揮により韓国軍を支援する」

又、少し古い記事だが、韓国の徴兵制度に変化があるかもしれない。(参照

■こちらでも、以前、コメントさせて頂いたのだが、カワセミ様:北朝鮮の核実験と太陽政策の終わり(秀逸なエントリゆえ、ぜひ、参照、頂きたい)

管理人の見解は、変わりない。’同盟にはその土台として、必然的に利害の一致が必要である’とは、ハンス・モーゲンソーの言葉だが、米韓は、将来に対する、同盟戦略が共有できていない。確かに、現状、グローバルな米軍再編やRMA、韓国の反米化など米韓関係悪化の要因は、複数あり、このことによって、韓国及び、朝鮮半島の重要性は、相対的に低下したように見える。しかし、イデオロギー闘争がはじまる前から朝鮮半島は、日本にとってバッファーとしての役割を果たしてきた。そして、その日本を戦略的拠点とするアメリカにとっても、今後の中・ロの動向次第では、韓国(仮に統一朝鮮でも)は相対的に重要度は上がるのではないだろうか。(地政的にみても、これだけのことが考えられる)

管理人なりに、簡潔にまとめれば、同盟には、巻き込まれ(entrapment)リスクと見捨てられ(abandanment)リスクがある。アメリカは、過度の巻き込まれリスクをマネージメントし、韓国は、見捨てられリスクをヘッジ出来なかった、しなかったというとこだろう。

しかしながら問われるべきは、最後は、韓国国民の意志である。

■本日は、アメリカで、アカデミー賞の発表があった。管理人には、華やかな世界なので、よくわからないが、1976年、グラミー賞、最優秀クラシック・アルバムに輝いた、ショルティ指揮、シカゴ交響楽団のベートーヴェン「第9番」を聴く。

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コメント

はじめまして・・
政治向けのハナシは実はあまり得意ではないのでコチラに反応させていただきます。

>ショルティ指揮、シカゴ交響楽団のベートーヴェン「第9番」

コレ、最高ですよね(笑)

投稿: SAKAKI | 2007年3月 5日 (月) 10時03分

SAKAKI様

はじめまして、コメントありがとうございます。

管理人、クラシック歴は、浅く、まだまだ、素人ですので、専門的なことは言えないのですが、このショルティ指揮の「第9」は、迫力は、それほどなく、かつ、苦悩から希望への展開のメリハリが効いているわけでもなく、非常に美しいというわけでもない。

ただ、全体としての一体感、まとまりのよさはありますね。それゆえ、安心して聴くことが出来ます。

個人的には、カルロス・クライバーの「5番」「7番」なんかがスキなんですけど。

あと、リンクさせて頂きました。
これからも、よろしくお願い致します。

又、気軽にコメント頂ければ幸いです。

投稿: forrestal | 2007年3月 5日 (月) 19時21分

お返事ありがとです。リンクのありがとうございました。なんとなく感じていましたよ(笑)
クライバーの5、7は私も大好きです。雪斎殿はビーフステーキに例えてますが、どうも私には爽やかな風なんですよ。
 もしかして・・ショルティのマーラーにハマっていませんか??第6と第2.8は強制的に感動させられてしまうくらい凄かったです。

投稿: SAKAKI | 2007年3月 5日 (月) 21時50分

>SAKAKI様

再度のコメントありがとうございます。

クライバーは、迫力もありますが、その中にも繊細さが垣間見えて、個人的には、すごく気にいってるんですけど。

ショルティは、マーラーはの方が、いいですね。

うーん、最近、はまっているのは、ブラームスの交響曲1番、3番ですね。フルトヴェングラーや、ギュンター・ヴァント指揮を聴いています。

ここだけの話、雪斎さんとは、違うタイプが好きですね(笑)

投稿: forrestal | 2007年3月 6日 (火) 12時23分

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 韓国にとって今必要なのは米国と日本に協調して北朝鮮の脅威を取り除くことです。いたずらに米国との対立関係を煽るのが現実的でないかはほとんどの人が分かることでしょう。 [続きを読む]

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