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2007年2月28日 (水)

日本版NSCに対する雑感

■日本版NSCの構図が、見えてきたようである。

日本版NSC 首相と3閣僚の少人数 来春の発足目指す
2007年02月28日00時13分 (朝日新聞)

 政府の「国家安全保障に関する官邸機能強化会議」(議長・安倍首相)は27日、外交・安全保障戦略構築のための国家安全保障会議(JNSC)創設を柱とする報告書をまとめた。JNSC創設は首相が掲げる官邸機能強化策の一環で、少人数の閣僚で迅速な政策判断を可能にするのが狙い。また、安保関連の秘密漏洩(ろうえい)に対する厳罰化を盛り込んだ早期の秘密保護法制定も提言した。

 政府は今国会に安全保障会議設置法改正案などの関連法案を提出し、来年4月のJNSC発足を目指す。28日には、情報機能強化検討会議(議長・塩崎官房長官)がJNSCへの情報提供ルールなどを定めた報告書をまとめる予定だ。

 官邸機能強化会議の報告書では、現行の安保会議を改組し、首相と官房長官、外相、防衛相による少人数会議を新設する。当初、検討された財務相は除外された。会議では、外交・安保戦略や武力攻撃事態などへの対処方針などを協議し、協議結果は閣議決定を経て、政府方針とする。

 少人数会議には常設の国家安全保障問題担当の首相補佐官を出席させ、必要に応じ関係閣僚や自衛隊の統合幕僚長も参加。防衛計画大綱などの議論のため、現行の安保会議の枠組みは残す。

 JNSC事務局には、現職自衛官や民間専門家らも含めて10~20人の専任スタッフを配置。事務局長は首相補佐官の兼務も可能で、外政、安保・危機管理担当の官房副長官補2人が事務局次長を兼務する。以下、略・・・

■最近、何かと流行りのインテリジェンスだが、それを、専門的に扱う、日本版NSCの中間報告が出された。

アメリカのような大規模なものではなく、イギリス式に近いものなったという印象である。また、全ての形が出来次第、この日本版NSCについては、エントリする予定であるし、インテリジェンス関連については、これからもフォローしていく予定である。

■まず、インテリジェンスとはなにかということだが、簡単に定義しておく。「無数ある情報のうち、(収集・分析というワークによって、)判断、行動に直結する情報(知識)」となるだろうか。

正直、管理人、裏の世界に生きていないので、どのようなインテリジェンス・ネットワークになっているかは、わからないが、インテリジェンス・パワーは、極めて重要である。外交政策の多くの失敗は、このインテリジェンスの扱い方次第だからである。

ただ、このインテリジェンスを政策形成に活用する、あるいは、直接、(重要な)判断・行動に用いるにせよ、プロフェッショナルが必要なことは言うまでもない。

いかなるインテリジェンスであれ、扱うのは、人間だからである。

■管理人がコメントできることは、インテリジェンスを政策形成に活用する部分である。

①ソースは、基本的にこだわる必要はない。

②シンクタンクの数を増やし(増えるよう援助する)、裾野を広げておく。

③幾重にも、情報(政策)が集まる構造にし、チェックをかけていく。

現在、管理人が求めるのは、これだけである。誰しも、日本版NSCがすぐに機能し、官邸機能を実質的に高めるとは思っていないだろう。

また、日本の政治文化として、特にこのインテリジェンスは、個人技に、限定された機関に委ねられてきた部分が多い。

人材育成をはじめるとともに、無数のインテリジェンスや、政策が集まり、それが’より良い政策を’という競争原理が働けば、それだけ、その政策のクオリティは、向上するだろう。しかし、その政策判断においても、あくまで、人間がすることなので、失敗が生じる可能性が高い。それゆえ、断層的なチェックシステムを導入することが好ましいのではないか。

かつて、ジョセフ・ナイは、ワシントンには、コクーンがあると言っている。これは、国内外の無数のシンクタンクで、アイディア・ブローカーが、働いていることを表している。

日本における現状に関しては、雪斎さんが詳しくエントリされているので、参照してもらいたい。アイディア・ブローカーの肖像 続

つまり、アメリカと比較することは、的はずれだが、アメリカの場合、NSCは、かなり上位の段階の機関になる。(つまり、それまでに多くの政策が集まり、篩にかけれている)

管理人は、歴史から学び、未来をいくつも想定して、現在の情勢を把握し、その上で、政策は形成・決定されるのだと考えている。極めて、当たり前のことだが、本質的なことであろう。また、歴史に対する深い造詣と想定をいくつも立てられる思考力、極めて、精緻な作業が必要である。(その他いろいろあるのだが)

アカデミズムの研究作業とは、又、異なる能力が必要である。

■管理人もインテリジェンスに関しては、考えがまとまっているわけではない。それゆえ、あまり、内容のあるエントリは出来ない。が、それゆえ、対外諜報機関や、対内諜報機関については、又、あらためて、エントリしたい。

(このエントリは、インテリジェンスの政策形成への活用を主にコメントしている。)

本エントリの最後に2つの提案をしたい。1つは、管理人が常づね言ってきたことだが、アメリカ研究所を設置すべきであるとうこと。日本のアメリカ研究は、決して低い水準ではないが、一元的にまとめる機関がない。又、アメリカの戦略を知ることは、日本にとって、極めて重要である。

2つ目は、こちらも、日本の政治文化にはないことだが、情報保持をしたら、開示する文化を育てることである。機密情報ゆえに、その時は、開示できなくても、数十年後、開示するシステムを構築すべきである。これは、個人の知る権利云々のレベルの話ではない。重要な意思・政策決定がいかになされたのか、きちんと国民に開示することこそ、主権が国民に存する、民主国家の基本原理であり、日本という国家の歴史を形成していく、極めて正統性ある、作業であるからである。

又、勉強してきて、このインテリジェンス関連は、エントリしたいと思う。今回は、あくまでも雑感である。

国際政治学者、ピーター・ハースの言葉を引用しておく。

「情報は収集・分析・共有してこそ、パワーになる」

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