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2007年2月22日 (木)

彷徨うナショナル・アイデンティ

■この16日に、CSISから、アーミテージ・ナイ・レポートが出された。本来ならば、そのペーパーの重要な部分について、訳して紹介したいのだが、実は、管理人、まだ、さっと目を通しただけなのである。

このペーパーについては、是非、みなさんに読んでもらいたいし、又、随時、エントリしていく予定である。

今回は、JIIA(日本国際問題研究所)が刊行している『国際問題』1月、2月合併合から、佐々木毅先生のエッセイをもとに、少し管理人の考えをエントリしたい。

■佐々木先生のエッセイは、『変革期日本のナショナル・アイデンティティの変容』という題が付されている。ちなみに、この論文集は、こちらから読めます。(国際問題 2007 1月、2月合併号:注意、PDFファイル形式なので、adobe rederが必要です。)

■まず、佐々木先生のエッセイの問題提起を簡潔にまとめれば、「現在のナショナル・アイデンティティの議論を見るに、飢餓感が感じられ、その空洞化を埋めるべく、焦燥感が感じられる。戦後、日本のナショナル・プライドや、ナショナル・アイデンティティを規定してきた、経済成長とそれに伴う楽観主義は、バブル崩壊とともに終わり、政府も今や、国民にナショナル・プライドを与えることが出来なくなっている。」

管理人なりに言えば、山崎正和先生の著書にもある通り、消費神話の美学と柔らかい個人主義を形成し、バブル崩壊前には、「ジャパン アズ NO.1」と称されるまで、戦後、日本が「坂の上の雲」(経済は好調、政治は保守、国民は希薄)に登りつめた時代であったのだろう。

その後、バブル崩壊、湾岸戦争での外交の敗戦と、失われた10年を迎える。又、国際環境の変化も大きい。冷戦期に自国の経済成長だけをもっぱら主眼に、冷戦に深く関わることなく、国際関係の大きなナラティヴ(物語性)の中に、自国のナラティヴを整合させることが出来た時代でもあった。

そのような中で、さまよえる、アイデンティティは、前小泉総理のカリスマ性に収斂したのかもしれない。逆を言えば、小泉前総理に彼がもつ以上のカリスマ性を付与したのかもしれない。(構造的な問題は、別として)、又、戦後のデモクラシーや、平和主義の再考という、歴史に後ろ向き、内向きな方向に入っているのだろう。安倍総理の「戦後レジーム」からの脱却などというフレーズから、顕著に読み解くことができる。

戦前・戦後の肯定、否定という、安易な2元論での議論が、論壇をはじめ、ネット媒体でもよく目にする。しかしながら、そのような、規定へのナショナル・アイデンティティの擦り付けは、一時の満足感しかもたらさないだろう。つまり、この先、未来へのグランド・ビジョンがなければ、過去の中での自分探しは、生産的・建設的なものにはならない。

■アメリカを見るに、アメリカは、冷戦終了後、明確なビジョンを打ち出せないでいた。アメリカの出す、ビジョンは、当然、グローバルなものになるだろう。「対テロ戦争」というのは、新しい、ナラティブなのかもしれない。

長い歴史でみれば、日本も変革期であろうが、世界も変革期である。もちろん、連動しているのだが。

■随分、思想的な虚無なエントリになってしまった。管理人は、ポストモダンとかいう思想は、よくわからないし、胡散臭いと思っている。ただ、ポストモダンにせよ、ハイ・モダンにせよ、今は、時代の変革期なのかもしれない。グローバル化関係の本では多いが。

以上のような、国際、国内環境のもと、殊更、不安を煽る必要はないのだが、さまようアイデンティティ、ナラティブを模索する時代においては、その不安を少しでも、軽減させる、『国家の品格』や、「格差社会」の関係の書籍がベストセラーになるだろう。

今回は、いつも以上に内容・まとまりのないエントリになってしまった。申し訳ない。

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コメント

 戦後の「果実」を腹いっぱい食した人々が、「戦後レジーム」の却という言辞に共感を寄せる自己矛盾は、きちんと見たほうがいいと思います。

投稿: 雪斎 | 2007年2月24日 (土) 05時51分

雪斎さん

コメントありがとうございます。

貴重な視点の提供ありがとうございます。

その通りですね。この自己矛盾は、きちんとみておかないといけませんね。

何よりも、まず、平和に安全に暮らすことが出来てきた、戦後に感謝する気持ちが大切ですね。

投稿: forrestal | 2007年2月24日 (土) 21時06分

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