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2007年1月19日 (金)

在日米軍再編問題

■防衛庁から省に昇格して、10日ばかりが経った。防衛省にとって、最初の大きな課題は、在日米軍再編問題であろう。もちろん、これは、安倍政権にとって、重要な課題である。

昨年の沖縄県知事選で勝利した、自民党公認の仲井真氏との協議も行われている。

沖縄知事 「政府案基本に実現へ努力」 普天間協議会
2007年01月19日13時02分(朝日新聞)

 在日米軍再編に伴う普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設をめぐる政府と地元自治体による協議会の第3回会合が19日午前、首相官邸で開かれた。政府側が昨年5月に日米合意した「V字形滑走路案」がまとまった経緯を説明し、着工手順などを示したのに対し、沖縄県の仲井真弘多知事は「(政府と県が昨年5月にかわした『政府案を基本』とする)基本確認書をもとに、可能な限り早期に実現すべく今後とも努力する」と、前向きに協議を進めていく考えを強調した。

 終了後の記者会見で、仲井真氏は「あのあたり(政府案)を中心にまとまるなら、まとめるようにしないといけない」と述べ、政府案に一定の理解を示した。ただ、「環境などがあるので、少し今の現行案でない形が最低必要になってくると思う」として、微修正が必要との認識も示した。以下略・・・

■米軍のトランスフォーメンション(再編)は、現在、進行中であり、これがどのような意味を持ち、定義づけできるかは、難しい。

管理人のあくまでも、個人的な見解を述べておく。

冷戦期においては、ジョージ・F・ケナンの対ソ封じ込め戦略にはじまり、主に、ソ連を中心とする、共産圏において、前方で対峙するような、前方展開戦略のもと、基地、軍備が配置されてきた。簡単な例をだせば、統一前のドイツや、朝鮮半島である。

しかしながら、冷戦の終結、RMAにより、又、中東から、北東アジア(いわゆる不安定の弧)に集中的に、展開できるようにする、米軍の再編である。

ヨーロッパ、韓国からの在留米軍撤退政策がその良い例だろう。

これは、主に、冷戦終了後、すでに練られていた案だが、ジョージ・W・ブッシュ政権になって、ドクトリンとして、積極的に進められてきた。

この米軍再編推進の要因を簡単にあげれば、以下になるだろう。

①冷戦の終結から、民族紛争、9.11テロなど、主な紛争、脅威の変化

②RMA(軍事技術)の進歩

③中東から、北東アジアへの積極的な軍事コミットメント戦略

はじめにも書いたが、現在進行中のため、どのような意味をもってくるのは、現状、推測でしかない。

しかしながら、管理人のあくまでも、個人的な見解として、米軍再編を簡潔に表現すれば、

「脅威ベース」アプローチから、「能力ベース」アプローチへの転換であろう。

つまり、繰り返しになるが、冷戦期には、東側を脅威と認識して、それに対応できる戦略であったのが、現在は、上記①~③を要因として、脅威化する以前にその能力のある段階で、迅速に対応しようというものである。

■在日米軍再編であるが、これも、米軍再編の一環である。日本は、主に、北東アジアから、中央アジアまでのアメリカの戦略的拠点となったのだろう。つまり、これまでも、そうであったが、より広範囲に、そして、より緊密な協力関係の構築化である。

アメリカ陸軍第一軍団司令部の神奈川県座間基地への移転と統合することは、顕著な例である。軍事評論家などは、「米軍との一体化」という人もいるが、そこまで、まだ至っていない。現状は、「人と物」との協力である。

あえて、管理人の言葉で言えば、「米軍とのより密接、強固な連携」となるだろうか。

在日米軍再編は、日本のナショナル・セキュリティにおいて、国益が一致するだろう。

つまり日本が軍事的に、より国際安全保障にコミットするかはどうかは、別として、(管理人自身は、戦略的にコミットすべきだと思うが、それはまた、別の機会に)、日本の国防において、米軍のプレゼンス、関与、相互の協力は、言うまでもなく、近隣諸国、テロリストなどに対して、有効であり、合理的である。(これは、今までもそうであったが、その継続、そして発展は、現在の国際環境に合致する)

管理人は、米軍と基地、情報、計画、作戦を共有することが望ましいと考えているし、「人と物」の協力だけでなく、「人と人」の協力も可能になれば、それだけ、オプションが拡がる。

もちろん、言うまでもなく、現、憲法下では、出来ないことではあるが。

ワシントンでは、在日米軍再編問題を強引ともいえるリーダーシップで推進してきたドナルド・ラムズフェルド元国防長官が、事実上更迭された。後任のロバート・ゲイツ氏は、この問題にさしたる関心を有していないであろう。ペンタゴンで、在日米軍再編の実施に強い関心を有する文民の高官は、リチャード・ローレス副次官どまりになってしまっている。また、米軍部が実施過程遅延の不満を露にするかもしれない。

ここにきて、ペンタゴンでは、組織改編が行われ、3月からは、アジア・太平洋安全保障問題担当国防次官補が新設され、リチャード・ローレス副次官の昇格が内定している。

国務省とペンタゴンの距離の差が気になるが、安倍政権も、在日米軍再編を早急化させ、スムーズに行えるよう国内合意、政策調整、丁寧なアカウンタビリティを果たすべきである。

■中国を脅威・脅威と流布する必要性はないが、衛星兵器実験に成功し、衛星攻撃能力を保持したことは、認識しておかなければいけない。

アメリカとの間で、宇宙空間における軍拡レースが始まる蓋然性は高い。

日本は、いくつものシナリオを立て、想定し、内的シュミレートして、対応を考えておかなければいけない。そのためには、在日米軍再編の速やかな遂行は、日本における、(対応)オプションを増やす。

在日米軍再編問題で、防衛省に、マイナス点をつけてはいけない。ただ。省に格上げすれば終わりではない。重要なのは、何をするかであって、安倍政権には、それが求められている。

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