« 核危機への対応 | トップページ | 最近の安倍内閣雑感 »

2007年1月26日 (金)

2つの施政演説

■今週は、バタバタしていたり、体調が優れなかったりで、ブログ更新が、停滞してしまった。なかなか、ブログと言えど、続けていくのは、大変である。

今週をさっと、概観して、印象深い出来事に、少しコメントしたいと思う。

一つは、1月23日に行われたアメリカのジョージ・W・ブッシュ大統領の一般教書演説である。こちらは、もうすでに、多くの論者がコメントしているので、管理人の出る幕は、殆どない。

もう一つは、1月26日、日本の国会開幕、冒頭で、安倍総理が述べた施政方針演説である。

尚、今回は、この2つを比較するものではない。

■まず、アメリカ、ジョージ・W・ブッシュ大統領の一般教書演説の要点と感想を述べたい。

全文は、こちら2007年 一般教書演説

多かれ少なかれ、大統領期、最後の2年間は、内政に重点を置くものである。

特に、現状の議会との関係、次回の選挙を考慮した発言内容である。

①エネルギー・セキュリティ

②ヘルス・ケア

③経済維持・成長(雇用政策、税政策など)

の3つが顕著な例である。それぞれがどのようなものになるかは、すでに、政策形成に入っているだろう。特に、注目したいのは、②のヘルス・ケアである。これは、ご存知の通り、クリントン前大統領期に挫折しているリベラルな政策である。

■外交・安全保障面では、どうだろうか。少し触れているところを抜粋してみる。

●対イラクに関して

We're carrying out a new strategy in Iraq -- a plan that demands more from Iraq's elected government, and gives our forces in Iraq the reinforcements they need to complete their mission. Our goal is a democratic Iraq that upholds the rule of law, respects the rights of its people, provides them security, and is an ally in the war on terror

そして、対イラク政策で、アメリカが後退(即時撤退など)すると以下のようになるらしい。

If American forces step back before Baghdad is secure, the Iraqi government would be overrun by extremists on all sides. We could expect an epic battle between Shia extremists backed by Iran, and Sunni extremists aided by al Qaeda and supporters of the old regime. A contagion of violence could spill out across the country -- and in time, the entire region could be drawn into the conflict.

要するに、増派して、バグダットの安全を保障しなければ、イランが支援するシーア派とアル・カイーダが支援するスンニ派との間で、この地域(主にイラク)を巡って内戦に至る。ということになるだろうか。アメリカの有識者には、穏健(親米的)アラブと過激アラブ(反米的)という2項対立的な図式で捉えるものもいる。

・イラクの治安回復も、多国間で、取り組む方が賢明である。国際社会や国連、同盟国という言葉は、イランに対しては、事実確認のように加えているが、対イラクに関してはない。

●対北朝鮮に関して

Together with our partners in China, Japan, Russia, and South Korea, we're pursuing intensive diplomacy to achieve a Korean Peninsula free of nuclear weapons.

これだけである。。。やはり、中東問題の方が、現状、ワシントンにとって、プライオリティは高い。北朝鮮問題に関しては、戦略策定がなされていないと考えられる。

以前にもエントリしたが、交渉で、綱引きをしながら、現状維持の可能性もある。

ワシントンと日本の脅威認識レベル、国益レベルの差であろう。

■次に、日本の安倍総理の施政方針演説をみてみよう。

憲法改正を最終目標とする内容である。

全文は、掲載できないので、外交面のみになるが、要点を抜き出してみる。

①価値の共有と連携

②「世界・アジアとのための日米同盟」

③MDの早急な整備

④集団的自衛権の個別具体的な研究

⑤在日米軍再編の着実な進行

⑥中国との戦略的互恵関係の構築、ロシアとの領土問題に対する交渉

⑦NATO諸国との協力、連携

⑧北朝鮮の核を容認せず、「拉致」問題の解決なくしては、国交正常化なし

・・・・とまだまだあるが、施政演説ゆえに、具体性のあるものは殆どない。

・外交課題、外交目標山積というところだろうか。ある程度、プライオリティとオプション、もちろん、法的枠組みを整えておかないと実現可能性は、高まらない。

もちろん、これは、指針であるので、全てが実現できるとは思わないが、少し、並べすぎだろうという感想である。この中で、特に、どれに、力を入れて、実現性を高めるのか、はっきりした方が、わかりやすい。もちろん、多角的なアプローチは、好ましいが、日本にそこまでの、外交力があるのか、疑問である。「主張する外交」は、多いに結構だが、いつ、誰に、何を、何のために、どうやって、主張するのか、具体策を求めたい。

政治とは、高度な常識を問うものである。国民の常識と安倍政権の常識がどれだけ一致するかがキーである。最近の政治とカネをめぐる動きなど、その不一致の典型である。

■最後に、日本の北朝鮮の経済制裁について、少しだけ

対北朝鮮の経済制裁だが、日本は、関連法案に基づき、一連の制裁措置をとっている。

問題は、この「圧力」が外交カードになりえるのかということである。つまり、管理人もあまり詳しく調べていないが、北朝鮮にどれだけの実質的な経済制裁効果を生んでるのだろうか。日本からの資金や物資が止まることは、確かに北朝鮮には、マイナスではあるだろう。ただ、それが、どの程度、マイナスになっているかということである。この辺りをきちんと調べて政策実行したのかと考えてしまう。でなければ、国内消費用(世論迎合)で、終わりかねない。この外交カードが有効に機能してこそ、その強弱をコントロールし、つまり、カード・レベル(強・中・弱)を操作することで、相手から、何らかの譲歩を引き出すことが可能である。アメリカのマカオの資金締結というカードが良い例である。

このことは、また、できる範囲で、調べて、エントリしたい。

■みなさんもお疲れの出る時期だと思う。ゆっくりとこの休日を過ごしてもらいたい。

|

« 核危機への対応 | トップページ | 最近の安倍内閣雑感 »

「国際情勢」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/179808/5091012

この記事へのトラックバック一覧です: 2つの施政演説:

« 核危機への対応 | トップページ | 最近の安倍内閣雑感 »