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2006年12月13日 (水)

Winny開発者に有罪判決

管理人は、さほど、コンピュータに詳しくないが、仕事の大半は、PCである。仕事でなくても、PCでの文書作成やネット通信は、殆どの方が使用しているだろう。

もう、多くの専門家やマスコミ、ブログなどで、この問題に対して賛否両論だされているので、管理人の出る幕は、ほとんどないが、少し興味があるので、コメントしておく。

ウィニー開発者に有罪判決 ネットの’天才’有用強調

 「こうしている間にも時代は動いている…」。ファイル交換ソフト「ウィニー」を開発したとして、著作権法違反幇助の罪に問われた元東京大大学院助手、金子勇被告(36)被告は13日、京都地裁の判決公判後に記者会見し、自らの立場を強調した。防衛機密や捜査情報の流出が絶えず、社会問題化したウィニー。ネット社会に“革命”をもたらした天才プログラマーに、司法は有罪判決を下した。(産経新聞)

■管理人はまったくの文系人間で、常に科学技術の恩恵を受けてきたわけであるが、それなりに専門的に勉強した経験がある。(外交史研究であるが・・・)

そこで、インターネット総合研究所の藤原洋所長の話は、管理人には重い。 

科学者、技術者には結果責任がある。経済的損失を補うことではなく、知識人として、知識の意義を説明する責任だ。ウィニーについて、分散したデータが自由に交換され、相互接続したネットワークが1つのコンピューターとして機能する点は国際的にも意義のある成果と評価する。だが、著作物が自由に交換され、著作権が守られないという社会的悪影響があった。金子被告はこれをしっかりと説明、注意喚起すべきだった。公害のように技術革新には、ひずみが生じるものだ。判決を機に、新しい研究開発を促進するなかで、知識人としての倫理が呼び起こされることを望む

ここで、一つ考えたいのは、責任を金子被告のみに還元してはならないということである。

技術(開発)そのものには、善も悪もない。問題は、その利用方法である。そこには、ある種のイデオロギー性が付きまとうのではないだろうか。このことに関しては、被告の影響力を超えている。

ドイツの哲学者、ユルゲン・ハーバーマスなどは、技術と科学に潜在的なイデオロギー性をみている。

管理人は、潜在的だとは思わないが、極めて左右されやすさがあると考えている。

例えば、日本は、原子力を平和的に利用することが認められている唯一の国家であるが、原子力自体に平和的も非平和的もない。その利用に関して、’平和的’というイデオロギー性が付加されているのである。

つまり、藤原氏の言うように、アカウンタビリティを果たすべきだとは思うが、その波及効果やリスク・コストまで、技術開発者に負わせるのは、如何なものかと思う。

そのアカウタビリティがなかったことは、充分に反省すべきだが、その波及効果や、リスクやコストに対して、法律や社会は、何か対処(処方箋)をしてきたのだろうか。

インターネット通信での著作権に対する司法・行政の遅れを感じる。

管理人は、法律論をするつもりはない。ただ、どれだけの専門家がこのことに対して、議論して、法整備の動きをしたのだろうか。行政府は、どれだけ真剣に考えてきたのだろうか。そういうことを、棚上げにして、個人のみ責任をきせるのは、管理人には、批判覚悟で、情報不足も承知しているが、怠慢としか思えない。(もちろん、専門家は、行動してきただろうし、行政府も真剣に取り組んできたかもしれないが)

■今、世界中で、行われてる内戦・内乱などに使われているAK-47カラシニコフ銃は、冷戦初期にソ連の技術研究者が祖国を守るために作ったライフル銃である。

カラシニコフが現在の状況を予測できたのだろうか。これは、もう国際政治の問題である。(ちなみに、カラシニコフは、現ロシアでも英雄である)

さらに、アカウンタビリティすることにも、リスクとコストが生じる。つまり、多くの人にその利用方法を教えるためである。そのことまで、考えての藤原氏の発言だろうか。そのヘッジ・マネージメントまで、考えておかなければいけないのは、当然である。それは、個人でできることから、法整備、行政の活動などまで広がるものもある。

■最後にアメリカの戦略理論家、トマス・シェリングの言葉を引用しておく。

銃があるから危ないのではない。銃が殺傷能力を持つことを知っており、また、そのための(殺傷の)方法を知っているから、銃は危ないのである

このケースを契機に研究(技術)開発が停滞しないことを望む。

*ちなみに管理人のコメントは、倫理的(モラル)レベルでも、形式的レベル(法的レベル)でもなく、実質的・運用レベルのコメントであることは、留意されたし。あと、管理人は、Winnyで、映画や音楽など、ファイルは、一度も落としてませんので、あしからず。

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コメント

著作権法関係ではこんな話もあるようです。
現在の著作権法では、YahooやGoogleのような検索サーバーを国内に置くことは違法だとか。
日本の著作権法は遅れてるし融通がきかないんですね。
http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/wadai/news/20061209k0000e020065000c.html

Winnyについては事件の有罪無罪とは切り離して、とりあえずウィルス対策のためのWinnyアップデートをできないのかと思いますね。これだけ情報漏洩が問題になってるんですからねえ。

投稿: Baatarism | 2006年12月13日 (水) 22時52分

Baatarismさま

コメントありがとうございます。

日本の知的財産や著作権法は、研究自体も正直、遅れてます。

また、根本的にネット空間における法律は、皆無です。

社会的悪影響、経済的損出、こういうものが公(ネット空間外に出たので)になってきたので、現行法(著作権法)で、なんとかしようという少し無理のある、法適用・法解釈ですね。

実は、これは、国際私法でも問題になってまして、その取り組みも遅れています。

ビジネスだけではないですが、個人の人権などもありますが、IT、ネットビジネスがこれほど進んでいる中で、何らかの取り組みは、必要だとは思いますが、国民の表現・言論の自由、知る権利などと、衝突して現状、なかなか進まないのが実情でしょうね。

Winnyに関しては、それほど心配してません。かなりの暴論かもしれませんが、しばらくは、自粛(規制)にかかるでしょうが、どこかで、誰かが、手を変え品を変え、同じようなもの、それ以上のものをネットに出しますよ。

こういうのはイタチごっこですから。

投稿: forrestal | 2006年12月14日 (木) 12時02分

はじめまして。いつも拝読させて頂いております。
この件、色々思うところもあるんですが、今日は忘年会(w、自ブログ(停滞気味)を本日更新できますかどうか。

さしあたり、アカウンタビリティに関してはこんな記事をご紹介しておきます。
http://alicia.zive.net/weblog/t-ohya/archives/000373.html
#法哲学の方ですね。

Baatarismさん>
法はいつでも後追いなのは仕方ありますまい。

>Winnyアップデートをできないのかと思いますね
まさに罰として、アップデートを命じてもよかったかもしれませんね(w

投稿: やすゆき | 2006年12月14日 (木) 12時47分

やすゆき様

はじめまして、コメント恐縮です。
このようなつまらないブログを毎回、拝読頂き、ありがとうございます。

まず、前提として、我々は、近代システムの中で生きています。つまり、近代とは、機能分化、社会分業システムですね。

その中で、我々は、相互に特に専門家システムを頼って、生活しています。
この専門家システムに焦点を当てると、必ずしも絶対ではなく、可変的なわけです。それゆえ、技術のイノベショーン、研究の積み重ね、つまり科学の進歩が起こるわけです。

そのような、曖昧かつ、可変的なシステムに頼っている(依存)して、生活しているということですね。

ですので、『現状~である』としか言えません。

この専門家システムは、言うまでもなく、極めて専門的で、我々が深くコミットしなくてもよいのが近代的合理性です。

そうすると、アカウタビリティには、限界があります。
内的限界(専門内)と外的限界(一般に向けて)です。

特に今回のようなメリットーデメリットがある技術の場合、どこまでのアカウタビリティが合法で違法か明確な基準があるわけでは
ありません。今回のケースに限らず、法的には、恣意的ですが。

>忘年会ですか。こちらは、来週です。
忘年会ネタで、ブログ更新といきましょうw

今後ともよろしくお願いします

投稿: forrestal | 2006年12月14日 (木) 23時52分

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