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2006年12月 2日 (土)

イラクの混迷

イラク・コミッション(イラク研究グループ)が、米軍のイラクからの段階的撤退案を勧告しそうである。

イラク研究グループ、08年初頭までに、米軍撤退勧告へ

 【ワシントン=五十嵐文】1日付米紙ワシントン・ポスト(電子版)は、ベーカー元米国務長官を中心とする超党派諮問機関「イラク研究グループ」が6日にブッシュ大統領に提出するイラク政策の見直しに関する報告書で、2008年初頭までにイラク駐留米軍のうちほぼすべての戦闘部隊を撤退させることを勧告すると報じた。

 治安権限を米軍から引き継ぐイラク治安部隊を養成するため、訓練などを担当する非戦闘部隊は引き続き駐留し、年明けからは米軍が直接、イラク治安部隊に参加して指導にあたるべきだとも勧告するという。(読売新聞)

■もちろん、中間選挙の結果を受けてのことだが、非常に早い政策見直しである。

もっと言えば、これまでの政策が現実性のない、無謀なものであったとも言える。

ベトナム戦争経験者で、湾岸戦争の英雄、前国務長官、コリン・パウエル氏と、事実上、更迭された、前国防長官、ラムズフェルド氏のイラク政策(兵力数など)をめぐる確執は、有名な話だが、ネオコンのイラク政策に多大な影響を与えた一人、プリンストン大学名誉教授の、バーナード・ルイスの中東観(イラク観)をみておきたい。

ルイス氏の見解によれば、(What Went Wrong?)より

そもそもイスラムは、先進的な文明を持っており、実際、ヨーロッパ・キリスト教世界に対して、政治的・経済的・軍事的・文化的に優越していた。ところが、それを吸収し、テクノロジーを発展させ、ヨーロッパが近代化を成し遂げたのに対して、イスラムは、自己満足に溺れ、停滞し、19世紀に入るとヨーロッパ列強の植民地支配を経験する。そのような屈辱に直面して、怒りの矛先をヨーロッパに向け、第2次世界大戦後、イスラエル建設後は、アメリカに責任を転嫁し、自らを変革する努力を怠ってきたのである。

この見解の心底に、S.ハンチントン的な『文明の衝突論』をみるのは、管理人だけだろうか。管理人は、以前にも書いたが、あれほどの中東・イスラム研究者を抱えるアメリカにも関わらず、その多様な意見に耳を貸さなかったのが、政策の稚拙さの原因である。

軍事力の行使というのは、早期に、被害を最小に、事態を収拾することもできるが、泥沼化を引き起こすこともある。

■現状、イラク安定への兆しはなかなか見えない。テロも多発し、各国の軍隊も撤退している。では、どうすべきだろうか。

まず、イラクにパワーのバキュームを作ってはいけない。それゆえ、確かに、主たる原因を作ったのは、アメリカであるが、国際社会が一致して、イラクの治安回復に臨むべきではないだろうか。それが国際的な安全保障にも関わるだろう。(この地域の不安定化は、各国の国益に関わる:主に石油などである。)ここに管理人は、国際協調路線のきっかけをみている。また、国連の重要性を示す機会でもある。

イラクを内戦・内乱状態にしてはならない。又、テロリストの温床にしてもならない。

管理人が考えるには、3つのレベルでの取り組みだろう。

①アメリカを中心とした、多国籍軍における治安回復・維持。

②国連を中心とする、宗派など、民主化に対する対話の場の提供

③主にNGOを支援する形での、経済的なインフラ整備、雇用の促進

特にこの③が最も重要であると考えているが、トリプル・トラックで臨むべきだろう。

管理人は、中東に関してはほとんど詳しくないので、かなりの楽観論であることは、理解している。

また、アメリカのイラク・コミッションの報告もエントリしたいが、

一つ言えることは、’イラクを見捨ててはいけない’

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